2010年5月11日(火)「しんぶん赤旗」
独最大州の議会選挙
連立与党、過半数割れ
左翼党は初の議席獲得
ドイツ最大の州ノルトラインウェストファーレン州議会(定数181)選挙が9日、投開票され、国政でも連立政権を担うキリスト教民主同盟(CDU)と自由民主党(FDP)の右派連立与党が過半数を失い、リュトガース州首相は辞意を表明しました。同州議会選挙の結果、州政府代表で構成される連邦参議院(上院)でメルケル政権は過半数を失い、厳しい政権運営を強いられることになりました。(片岡正明)
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与党側の得票率は、キリスト教民主同盟が34・6%と前回2005年より10ポイント以上少ない大敗北を喫しました。自民党は前回より微増の6・7%を獲得しました。野党側は、社会民主党(SPD)が前回より2・6ポイント少ない34・5%、90年連合・緑の党は倍増の12・1%。前回は「労働と社会的公正のための選挙代案」(WASG)と民主的社会主義党(PDS)で選挙に参加した左翼党は、両者合計の3・1%から大幅に前進、5・6%を獲得。議席獲得の条件とされる5%の壁を突破し、初議席を得ました。左翼党は同州議会での議席獲得でドイツ16州のうち13州で議席を有することになりました。
新議席分野は、キ民同盟67議席、社民党67議席、緑の党が23議席、自民党13議席、左翼党11議席になりました。州政権は、互いに連立を模索してきたキ民同盟と自民党、社民党と緑の党の組み合わせでは過半数には至らず、キ民同盟と社民党の大連立か、社民党、緑の党、左翼党の3党連立の可能性が取りざたされています。しかし、社民党は左翼党との連立を拒否する姿勢。
選挙では、ドイツ兵が相次ぎ犠牲となり、また市民殺害が問題となっているアフガニスタン派兵やギリシャへの財政援助、内政では現政権が進めている原子力発電所延命、社会的格差などの国政問題が主な焦点となりました。
選挙の結果判明後、社民党のガブリエル党首は「キ民同盟と自民の連立は国政でもやめよというサインだ」と強調。左翼党のエルンスト副議長は州レベルでの統治能力はあると強調し、「われわれは政治の大転換に尽くしていく」と述べました。
同州は人口1800万、国内総生産の約5分の1を占め、人口でも経済規模でもドイツ最大の州です。