2010年5月10日(月)「しんぶん赤旗」
民主 アメ ムチ 業界工作
診療報酬改定 日歯幹部の前で次官に“指示”
小沢幹事長「参院選わかってるな」
目前に迫った参院選にむけ、与党・民主党による業界団体への露骨な締め付けが行われていることが、本紙の取材でわかりました。巨大与党の権限をアメとムチのようにつかって、選挙協力を求める民主党の姿勢に、関係者からは怒りと困惑の声が広がっています。(矢野昌弘)
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「小沢さんからどう喝に近い言葉で『夏の参議院選挙のことはわかっているでしょうね』と言われた」
東日本地域のある歯科医師会会長は、ホテルで面談した小沢一郎幹事長から強圧的な態度で要請を受けたと、周辺に語りました。
自民党を支援してきた業界団体の中でも、日本歯科医師会(日歯)や日本医師会は資金面、集票力ともに有力な団体です。民主党は、その切り崩しに躍起です。「会長は、『言われるべくして言われた』と受け止めているようだった」と、歯科医師会関係者は話します。
民主党が切り札にするのが、今年度の診療報酬改定で医科本体は1・74%のアップだったのにたいし、歯科本体では2・09%引き上げたことです。
民主党国会議員と東日本の地方都市の歯科医師会が開いた懇談会。この席で、小沢氏側近の国会議員は「診療報酬改定の内幕」と言って、こんな話を得意げに披露しました。
――国会内の民主党幹事長室に大久保満男会長はじめ日歯の幹部が訪ねてきた。小沢幹事長は、日歯幹部がいる前で、水田邦雄厚生労働事務次官に電話をかけ、「医科よりも歯科の改定率をあげるように」と言っていた。
この民主党議員は「この電話が今回の改定に反映した」と示唆した――。
民主党では、各団体の陳情を党幹事長室が一元的に受け付けるというシステムをとっています。“小沢詣で”とも揶揄(やゆ)され、小沢一郎幹事長への権力集中が指摘されています。
懇談会に同席した歯科医師は「組織内候補を自民党から擁立することになっていた日本医師会は、診療報酬改定などを審議する中医協の委員を外されるハメになった。我々にたいしても『協力しなければこうなるよ』という暗黙のメッセージだ。診療報酬が与党幹事長の胸先三寸で決められるのは恐ろしい」と話します。
こうした動きに合わせるように、日歯の政治団体、日本歯科医師連盟は1月、全国の会員向けにアンケート調査を実施。「民主党の歯科医療政策に今後期待しますか」などの設問からは、民主党支持への“地ならし”とも言える動きがうかがえます。
民主党が全国で行っている業界への締め付け工作。民主党国会議員から、協力要請を受けたある業界団体の役員は、こう民主党の強引なやり方を批判します。
「アメとムチを使えば、業界団体がすり寄ってくるだろうという手法は、自民党と変わらないではないか」