2010年5月7日(金)「しんぶん赤旗」

主張

普天間「県内移設」

「抑止力」で県民は納得できぬ


 鳩山由紀夫首相が就任後初めて沖縄県を訪問し、仲井真弘多知事や稲嶺進名護市長、地域住民らとの会談で、米軍普天間基地についての自らの公約を破り、「県内移設」と鹿児島県徳之島への一部移転を組み合わせた方針を伝えたことに、怒りが爆発しています。

 9万人が参加した沖縄県民大会での県民世論にも、人口の6割が参加した徳之島での住民集会の意思も無視して政府方針を押し付けようとしても、県民・国民に通用しないのは当たり前です。

前代未聞の公約破り

 普天間基地の「国外」、「最低でも県外」への「移設」は昨年の総選挙のさいの鳩山首相の明確な約束です。党を代表する鳩山氏の発言は民主党としての公約そのものです。「国外・県外移設」は「党としての考えではなかった」といい逃れようとしても、それは通用しません。首相と民主党が、公約違反を批判されるのは当然です。

 鳩山首相は、「日米同盟や沖縄の米海兵隊が『抑止力』としての役割を考えれば県外移設は難しい。認識が足りなかった」といって沖縄県内への「移設」を県民に迫りました。しかし、わずか1年足らず前の自らの発言を簡単に投げ捨ててしまうような首相の言葉を、県民にまともに受け止めろといってもそれは無理です。

 沖縄県民は島ぐるみのたたかいで、普天間基地の「県内移設」は認めず、撤去を要求するとの意思を表明したばかりです。いまごろ沖縄を訪れ「県内移設」を要望するなど、県民をばかにするにもほどがあります。その態度そのものが、怒りの火に油を注いでいることを首相は知るべきです。

 首相が「日米同盟」のためだとか、沖縄の海兵隊は日本を守る「抑止力」だとさえ言えば、県民に基地が押し付けられると考えているとすれば、それこそ間違いです。県民に痛みを押し付け、安全を脅かす米軍基地が「日米同盟」のためだというなら、その「同盟」そのものを見直すべきだというのが沖縄県民の気持ちです。

 海兵隊の任務は県民を「守る」ことでも「日本を防衛」することでもなく、歴代の米国防長官が証言しているように、世界各地にアメリカが攻め込んでいくための、「戦争力」「侵略力」です。米軍がいなければ平和が守れないという考えそのものが、軍事力で支配しようという誤った考えです。戦争と侵略のための海兵隊は、日本のどこにも必要ないものです。

 仲井真知事は首相と会談後の会見で「県民の思いとずれがある」とのべました。名護市の稲嶺市長は自公政権時代と同じ市内辺野古が「県内移設」の候補地となっていることについて「とうてい受け入れできない」ときっぱり拒否しています。「県民の思いを尊重する」という首相の言葉に真実味があるなら県民が望まない「県内移設」の企ては一切やめるべきです。

無条件撤去しかない

 鳩山首相はきょう、徳之島の3町長にも東京で会い、政府方針を伝える予定です。しかし、沖縄でも徳之島でも、普天間基地の「移設」を受け入れるところはどこにもありません。

 「移設」先探しで普天間問題を解決する展望は絶無です。政府は「移設」先探しを断念し、アメリカに普天間基地を閉鎖させ、無条件撤去させるべきです。





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