2010年5月7日(金)「しんぶん赤旗」
もんじゅ 運転再開
火災から14年 不安と反対の声
福井
日本原子力研究開発機構は6日午前10時36分、1995年のナトリウム漏れ・火災事故で停止していた高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の制御棒を引き抜き、運転を再開しました。この日は核分裂反応が連鎖的に起きる臨界に達する時点を予測するためのデータを採取しました。
もんじゅは、85年に建設が始まり、91年に試験運転を開始しましたが、性能試験中の95年12月に冷却材のナトリウムが漏れ、火災が発生しました。配管に挿入された温度計のさやが折れ、穴が開いたのが原因でしたが、ナトリウムを扱う技術が確立していないことを実証しました。
原子力機構の前身の動力炉・核燃料開発事業団(動燃)は事故現場のビデオ隠しや、虚偽報告の事実が明るみに出て、社会的な非難を浴びました。運転停止中の2003年には、もんじゅの設置許可無効を求める住民の訴えが、名古屋高裁金沢支部で認められました。
原子力機構は2005年から改造工事を始め運転再開をめざしましたが、ナトリウム漏れ検出器の誤作動や、排気用の管(ダクト)が腐食し穴が開くなどのトラブルが続出。予定は大幅に遅れました。
もんじゅの運転再開は約14年5カ月ぶりで、これだけ長期間運転を停止していた原子炉の再稼働は世界的にも異例なこと。もともと技術が未確立で、さまざまな危険が指摘されているもんじゅの運転再開には、地元住民をはじめ、多くの人たちから不安や反対の声があがっています。