2010年5月4日(火)「しんぶん赤旗」

主張

日本共産党の農政提言

農業再生の道筋をしめす


 5月の連休は、行楽シーズンとともに、各地で田植えなど農作業が本格的になります。

 政権交代で、農業に希望がもてるようになるのではという期待がありました。ところが、鳩山由紀夫政権がうちだした農業者戸別所得補償事業が始まったもとで、「これではやっていけない」という声が噴出しています。

 日本共産党が26日発表した「低すぎる所得補償では展望が開けない―価格保障と所得補償の充実、輸入自由化のストップで、農業の再生を」は、その原因はなにか、どうすれば農業再生の道筋を開けるかを具体的に提起しています。

戸別所得補償に問題

 農業をめぐる事態は、自民党政治の矛盾の集中点の一つでした。農産物の輸入は野放しし、価格政策を放棄し、大規模経営だけを政策対象に限定するなどの農政に強い反発がひろがり、農政の抜本的転換への期待が高まったのです。

 その目玉政策である戸別所得補償政策で、なぜ展望が開けないのでしょうか。それは、農業困難の原因解明も、再生への処方せんも、農業の実態から大きくかけ離れているからです。

 具体的には、(1)米への補償水準が低すぎて農家の経営改善に結びつかない(2)転作の助成が大幅に下がり、生産の継続ができなくなる(3)この政策が輸入自由化の条件づくりにされようとしている(4)農業予算が前年よりさらに減らされた―ことです。

 日本共産党は2年前に「農業再生プラン」を発表し、全国でJAなど農業団体や消費者団体など幅ひろい関係者と懇談をひろげ、農政転換の世論を高めてきました。

 今回の農政提言は、鳩山政権の戸別所得補償制度の問題点を指摘した上で、「農業再生プラン」を土台にして強調すべき点を提起したものです。

 第一は、水田農業の発展についてです。生産費を償う価格保障を基本に、環境保全などの農業の多面的機能にたいする補償と組みあわせて、60キロ当たり平均18000円の生産者米価を保障します。あわせて、深刻な事態が続いている2009年産米の暴落対策を実施するとともに、水田の総合利用による麦、大豆、飼料用米などの増産対策を強めることです。

 二つは、日本農業の多面的発展をはかることです。畑作・畜産・野菜・果樹などに生産・流通の条件にあわせた価格保障・所得補償を実施すること、多様な家族経営を応援しながら、新規就農者支援法を制定するなど担い手対策の強化をうちだしました。

 三つは、農業予算の思い切った増額です。1兆円の追加予算で自給率50%が可能になります。

 四つは、農業再生を保障するには日米FTA(自由貿易協定)などの輸入自由化をやめ、食料主権を保障する貿易ルールをめざすことが不可欠だということです。

農政転換へ国民的合意を

 いま農家は、期待はずれの戸別所得補償にどう対応するかで悩まされています。大事なことは、農業生産を続ける努力とともに、農政への要求を明らかにし、幅ひろい関係者を結集して、鳩山内閣に実現をせまっていくことです。

 日本共産党は、農政提言をもとに、国民的合意を広げ、農業再生にむけた運動と政策の前進に全力をあげます。





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