2010年5月2日(日)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
絵に描いたようなメーデー日和。新緑の公園に色とりどりの旗がひるがえり、若者たちの歌声が青空に響きました▼お隣の中国のメーデーは、国あげての行事、祝日です。1日から1週間はメーデー休暇です。しかし、ことしの5月1日は、中国初、発展途上国で初めての万国博覧会が始まった日として、記憶されます▼上海万博の主題は、「より良い都市、より良い生活」。経済の発展につれ、都市住民の暮らしの格差や環境の悪化が伝えられる中国にとって、切実な主題でしょう。とともに、世界に共通する難題です。中国は、万博が「5000年余の中華文明と世界を強く結びつける」と意気込みます▼東が中国なら、西のギリシャも古い文明の生まれた地です。古代に、アテネやスパルタの都市国家が栄えました。上海万博のギリシャ館の展示も、「活力あふれる都市」を表現するつもり、といいます▼そのギリシャで今、国の財政が危機に陥っています。欧州連合(EU)は、きょうにも支援を決めますが、見返りを求めます。国民への増税や年金の切り下げなどです。ギリシャのメーデーは、負担増への抗議一色だったようです▼さまざまな困難を抱えながら、万博を一つの足がかりに先進国入りをめざす中国。1人あたり国内総生産で中国の10倍近いものの、財政難に苦しむギリシャ。古代文明を誇る二つの国の現在は、ずいぶん違ってみえます。しかし、メーデーの歴史が物語る、人間らしい生活を求める人々の努力は万国共通です。