2010年5月2日(日)「しんぶん赤旗」
非核地帯条約国会議開く
国連総長 核抑止論を批判
ニューヨーク
【ニューヨーク=坂口明】ニューヨークの国連本部で4月30日、第2回非核兵器地帯条約締約国会議が開かれました。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長が演説し、世界5地域に広がった非核地帯を「軍縮運動の成功物語だ」とたたえ、「わたしたちの目標は世界中を非核地帯にすることだ」と強調。非核地帯の広がりを全世界での核兵器廃絶に結びつける必要を訴えました。
潘氏は、「一部の国は核兵器が自国の安全保障にとって死活的に重要で抑止力に不可欠だとみなしているが、この会議にいるわれわれは、そうではないことを知っている」と語り、核保有国の核抑止論を批判しました。
この会議は、五つの非核地帯条約の締約国100カ国以上が、3日からの核不拡散条約(NPT)再検討会議を目前に開催。第1回会議は前回のNPT再検討会議(2005年)の直前に開かれました。
各国代表からは、非核地帯設置は一時的措置であり、世界的な核廃絶こそが必要だとの発言が相次ぎました。秋葉忠利広島市長も「非核世界をつくる交渉を今開始すべきだ」と訴えました。
途上国で非核地帯が実現していない数少ない地域の一つが中東。1995年のNPT再検討会議で中東非核地帯の設置が決議されましたが、NPT非加盟のイスラエルが核を保有していることなどから、その後15年間に進展はなく、今回の再検討会議で大きな争点の一つになるもようです。
非核地帯条約 1967年の中南米のトラテロルコ条約を皮切りに、南太平洋、東南アジアと拡大。昨年、アフリカと中央アジアの非核地帯条約がそれぞれ発効。非核地帯は南半球全域を覆い、中央アジア非核地帯の設置で北半球にも拡大。核兵器を持たない、持ち込ませないなど、日本の非核三原則と共通。単独で非核国を宣言したモンゴルも非核地帯の一員に数えられています。
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