2010年5月1日(土)「しんぶん赤旗」

島根原発 点検漏れ506件

中国電力 1665件「点検に問題」


 中国電力は30日、島根原発1、2号機(松江市)の点検漏れの数が506件にのぼっているとする中間報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出しました。


 この問題は、メーカーが昨年6月、原子炉格納容器内の圧力調整弁を動かす電動機の点検期間が大幅に超過していると連絡したことが発端。今年1月に社内の会議でこの問題が取り上げられ、調査したところ123件の点検漏れが見つかったというものです。3月30日に同社が、この事実を公表し、保安院が4月30日までに調査結果を報告するよう指示していました。

 506件はこれまでにわかっていた123件を含んでおり、その内訳は、1号機が347件、2号機が159件。このうち「最高度の信頼性を確保する必要がある機器」がそれぞれ28件と24件、「高度の信頼性を確保する必要がある機器」がそれぞれ7件ずつあったといいます。

 このほかに、点検時期を超えていないものの、点検計画と実績に食い違いがある機器も1159件あるとしており、点検に問題のある機器の件数は合わせて1665件となりました。

 同社は報告書で「全ての報告徴収および指示事項への対応を終えることはできていません」としており、今後さらに問題の件数が増える可能性があります。

解説

「安全管理」ずさんな実態

 中国電力が国に提出した中間報告書で、とどまることをしらない原発のずさんな安全管理の実態が明らかになりました。点検漏れが、非常に深刻な事態を招くことは、2004年8月の関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)で運転開始以来28年間一度も検査を受けていなかった配管が破断して高温高圧の水蒸気が噴出し、現場にいた11人が死傷した事故からも明らかです。

 このような事故が起こるたびに、国や各電力会社は「水平展開」するとして、調査し、報告書をまとめてきました。島根原発も例外ではありません。しかし、それが、おざなりだったことは今回の事例からも明らかです。

 背景には、原発では重大な事故は起きないという、根拠のない「安全神話」があります。

 国は、地球温暖化への対応を口実に、原発の大増設や老朽化した原発の酷使、定期検査間隔の長期化などを進めています。中国電力も島根原発3号機の増設や上関原発(山口県上関町)の新設をしようとしています。

 安全神話につかった国や各電力会社による原発推進は許されません。(間宮利夫)

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