2010年4月30日(金)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 明日から5月。風薫る5月ですが、旧暦の5月はほぼ梅雨どきにあたります▼一説によれば、旧暦5月を「さつき」と呼ぶいわれは農作業に根ざしているようです。田植えが盛んなころ。早苗(さなえ)を植える早苗月が、略して「さつき」に転じました。後になって漢字の「皐月」をあてた、という説です▼民俗学者の柳田國男が、ことし刊行から100年の『遠野物語』に、オクナイサマという神様の伝説を紹介しています。長者の家で田植えの人手が足りない。そこへ見知らぬ小僧が現れ手伝う。家の神棚をみると、オクナイサマは田んぼの泥にまみれて…▼“苦しいときの神頼み”といいますが、頼まなくても助けてくれるとはありがたい。鳩山首相も、こんな神様にすがりたい心境ではないでしょうか。もちろん、現実は神に頼れず、人々への影響力をもつ“実力者”に頼ります▼島民の6割が集まり、「米軍基地移設断固反対」を決めた徳之島。首相は、政界を引退した元衆院議員を島出身の“実力者”とみなし、説得を試みました。しかし、住民に会おうとせず東京に住む元議員に説明するやり方が、かえって反発を招いています▼民主党の小沢幹事長も、首相が頼る“実力者”です。検察審査会が、政治資金の疑惑は「起訴に相当」と判断した小沢氏。しかし首相は、「このままがんばっていただきたい」と支持し、やはり民意に逆らいます。首相が、普天間基地の「移設」へ決着をめざすという5月。「小沢」ものしかかる、不穏な5月です。





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