2010年4月30日(金)「しんぶん赤旗」

主張

普天間基地「移設」

民意の裏切り断じて許さない


 沖縄の米軍普天間基地の「移設」をめぐって、鳩山由紀夫首相が鹿児島県徳之島出身の元衆院議員にあっせんを依頼し、連休中には仲井真弘多沖縄県知事との会談を予定するなど、重大な段階を迎えています。徳之島へ海兵隊の一部を「移転」するとともに、名護市辺野古に「桟橋方式」の新基地をつくる案が伝えられています。

 徳之島では人口の6割に当たる1万5千人が参加して反対の意思をつきつけ、沖縄県では10万人規模の県民大会で「県内たらい回し」反対の意思を改めて示したばかりです。民意をふみにじる行為を断じて許すことができません。

「修正」でも痛みは同じ

 「移設」案では、徳之島に普天間基地のヘリの一部と約2500人の海兵隊員のうち最大1000人を移すといいますが、島の平和と静かな生活を破壊し、住民に激痛をもたらすのは明白です。徳之島の住民が3町の町長を先頭に、島ぐるみの反対運動を強めているのは当然です。

 徳之島での「移設」反対集会のあと、鳩山首相は住民の反対表明を「一つの民意」といいました。「民意」を認めるなら徳之島への「移設」案をきっぱり断念すべきです。「移設」案を受け入れない住民を説得するため、引退した元衆院議員を担ぎ出そうなどという画策はやめるべきです。

 鳩山首相が、徳之島への一部「移設」と組み合わせて、名護市辺野古への新基地建設の「修正」案なるものを持ち出してきたのはとりわけ重大です。小泉純一郎政権とアメリカが合意した新基地建設案は、住民の反対で、14年間「杭(くい)1本」打たせなかったものです。それをわずかに「修正」しただけの案をまた持ち出してくるなどというのは、無責任にもほどがあります。自民党政権を退場に追い込んだ県民世論を真っ向から踏みにじるものです。

 「修正案」は、辺野古沿岸部に新基地をつくる現行案を数百メートルほど沖合にずらし、直径1メートルの鉄柱を数千本埋め込んで、1500メートルの滑走路をもつ「桟橋方式」の新基地をつくるというものです。環境だけでなく住民の生活を破壊する点でいずれ劣らぬ計画です。

 海兵隊のヘリは世界各地の戦場で低空から攻撃し、兵員を輸送するのが任務です。そのために普天間基地のヘリは宜野湾市街地上空での低空飛行訓練をくりかえし、市民を苦しめています。「現行」案であれ「修正」案であれ、辺野古に新基地がつくられれば、ヘリや配備が計画されている最新鋭オスプレイなどが名護市民に痛みを与えるのは明白です。

 名護市民は1月の市長選で新基地反対をかかげる稲嶺進市長を選び、稲嶺市長は「修正案」にも反対する態度を明確にしています。鳩山首相は沖縄県民や名護市民、徳之島住民の願いに応え、徳之島「移設」案も辺野古新基地建設「修正」案もただちに撤回すべきです。

移設でなく撤去の交渉を

 普天間基地は沖縄県内の多くの基地と同じように、米軍が太平洋戦争末期に沖縄を占領した際に不法に県民の土地を奪い、つくったものです。基地の無条件撤去は県民の当然の願いであり権利です。

 普天間基地の「移設」先を探すのではなく無条件撤去を求めて米政府と交渉するよう首相の決断を迫ることがいよいよ重要です。





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