2010年4月30日(金)「しんぶん赤旗」
軍事衛星 累計7000億円 聖域扱い
宇宙分野“事業仕分け”
28日で4日間の日程を終えた政府の行政刷新会議による「事業仕分け」。全体として、重箱の隅はつついても、ムダな大事業は聖域扱い―という例が目立ちました。それを象徴する場面が、宇宙分野でみられました。
探査機や天文衛星の研究成果や宇宙服などを展示する、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の広報施設。ロケット模型など関連グッズの販売を閉館30分前に終了することを、仕分け人の国会議員が「なぜ30分の間、商品販売しないのか」などと問題視しました。
年間入場者18万人、事業費1億円弱の広報施設は、非効率などとして最終的に「廃止」の判断。効果的な広報の努力や天下り是正は当然ですが、仕分けでは、細かい議論が目立ちました。
一方、宇宙分野には巨大なムダが残されています。宇宙予算の3分の1を占める軍事分野(今年度1245億円)です。その半分以上は、内閣官房が運用する情報収集衛星。「安全保障」と「大規模災害などへの対応」を名目に導入された事実上の軍事偵察衛星で、これまでに7000億円以上の税金が投入されています。
しかし情報収集衛星の観測画像や性能、運用実態は非公開。災害時の活用状況さえ、政府は明らかにしていません。効果的な運用どころか、本当に災害対策に活用しているのかも不透明。こうした事業こそ、仕分けのメスを入れるべきです。(中村秀生)