2010年4月29日(木)「しんぶん赤旗」
小沢氏めぐるゼネコン裏献金疑惑
談合情報後も対策なし
鹿島が随意契約で連続受注
検察審査会が政治資金規正法違反事件で、「起訴相当」と議決した民主党の小沢一郎幹事長をめぐるゼネコンからのウラ献金疑惑で焦点の一つとなっている胆沢(いさわ)ダム(岩手県奥州市)。この工事で談合情報がありながら、国土交通省が対策をとらず、情報通りに落札した業者がその関連工事も随意契約で受注できていたことが28日までにわかりました。
問題となっているのは、胆沢ダムの「堤体盛立(第1期)」と「原石山材料採取(第1期)」の2工事です。同工事の談合疑惑を日本共産党の笠井亮議員が2月17日の衆院予算委員会で追及しました。
どちらも入札数日前の2004年9月と05年2月に談合情報が寄せられました。
国交省東北地方整備局は「調査の結果、談合の事実は確認できなかった」として、そのまま入札を実施。
その結果、談合情報通りに「堤体盛立」を大手ゼネコン、鹿島がつくる共同企業体(JV)が落札(落札額193億8000万円、落札率93・9%)しました。
「原石山材料採取」でも大成建設JVが落札(同151億5000万円、同94・4%)。その下請けには、中堅ゼネコンの水谷建設が入るという談合情報通りの結果でした。
談合の可能性が濃厚になった両工事。ところが国交省は、引き続く2期工事でも1期工事の落札業者と随意契約で発注しています。
こうした随意契約に至ったのは1期工事の入札公告に書かれた文言にあります。1期工事と直接関係のある工事については「当該工事の請負契約の相手方との随意契約により締結する」というもの。“自動連続受注システム”ともいうべき制度です。
談合が強く疑われているのに、契約を見直すことはできないのか―。東北地方整備局の担当者は「談合の事実が確認できなかったため、入札が行われたもの。その結果は結果とし、入札公告通りに契約するのが通常のこと」と、手続きに問題がなかったことを強調します。一方で前原誠司国交相が「機能したかどうか、はなはだ疑問」とのべるなど、国交省の談合対応マニュアルの不備が指摘されています。
小沢氏の事務所が“天の声”を発し、鹿島が仕切り役をしたとされる東北地方での談合。談合の徹底解明と根絶は待ったなしの課題です。