2010年4月28日(水)「しんぶん赤旗」
もんじゅ検出器故障
ナトリウム漏れ感知不能
日本原子力研究開発機構は27日、運転再開をめざしている高速増殖炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)でナトリウム漏れ検出装置が故障したと発表しました。
発表によると、26日午後11時59分に2次冷却系配管からのナトリウム漏れを検出するための検出器の一つが機能していないことを示す警報が出ました。調べた結果、配管周辺の空気を吸い込むファンのモーターが過熱し、停止していることがわかりました。
ファンとモーターを交換した結果、27日午前5時24分に復旧したといいます。この間、問題の検出器はナトリウム漏れを感知できない状態でした。
原子力機構によると、故障したファンとモーターは昨年5月に交換しました。もんじゅには、1次冷却系と2次冷却系あわせて614台のナトリウム漏れ検出装置があり、故障したのと同じタイプは62台だといいます。過熱した原因は調査中で、今後別の装置も調査するとしています。
もんじゅは1995年のナトリウム漏れ・火災事故以来、運転を停止したままです。原子力機構は運転再開に向け、改造工事を行いましたが、ナトリウム漏れ検出装置の誤作動や地元への連絡遅れなどのトラブルがこれまでも相次いでいます。
しかし、経済産業省原子力安全・保安院と原子力委員会は、原子力機構の運転再開を了承する結論を3月までにまとめ、福井県の西川一誠知事は26日に川端達夫文部科学相、直嶋正行経済産業相に面会して「前向きに判断したい」と表明したばかりでした。
もんじゅ プルトニウムを含む燃料を使い、使用した以上のプルトニウムを生み出せる“夢の原子炉”として開発された高速増殖炉の原型炉。冷却材に、水や空気とふれると激しく反応するナトリウムを使うなどの技術的な困難さと、巨額の費用がかかることから、欧米各国はすでに開発を断念しています。