2010年4月28日(水)「しんぶん赤旗」
米軍基地権でも密約
新原氏暴露 旧安保の特権温存
1952年発効の旧日米安保条約下で米軍に基地の使用や運営などのために必要なあらゆる「権利、権力、権能」が与えられていた問題で、現行の安保条約のもとでもそうした米軍の基地特権が引き続き堅持されることを日米両政府が秘密了解覚書を結び、確認していたことが、初めて分かりました。国際問題研究者の新原昭治氏が27日、日本平和委員会主催のシンポジウムで明らかにしました。
旧安保条約に基づく行政協定3条1項は、米軍が基地内で「設定、使用、運営、防衛又は管理のため必要な又は適当な権利、権力及び権能を有する」と規定していました。しかし、行政協定は60年の安保改定に伴って日米地位協定に代わり、同条も基地内で米軍は「設定、運営、警護及び管理のため必要なすべての措置を執ることができる」という規定になり、「権利、権力、権能」という文言が消えました。
ところが、新原氏が入手した米政府解禁文書によると、「日本政府は、(地位協定)3条1項の新しい文言のもとで施設及び区域内の米国の権利を変更しないままにすることを文書で確認」することで合意。60年1月6日に当時の藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使が、「米軍の施設・区域内での米国の権利は、地位協定3条1項の改定された文言のもとで、行政協定のもとでと変わらなく続く」とする秘密了解覚書に頭文字署名をしました。
当時、日本政府は行政協定の改定などをもって日本の自主的権限があたかも強まったかのように説明しました。しかし、協定の文言の手直しが行われたにもかかわらず、米軍基地の治外法権的な実態は旧安保条約下とまったく変わりませんでした。
新原氏が明らかにした密約は、その根本原因を明らかにし、米軍基地問題での日本政府のアメリカ言いなりの実態を示すものです。