2010年4月27日(火)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
電車内で見慣れた光景になりました。カチッと音がした方を見ると、携帯電話の画面に顔を近づけ着信メールを確認し、文字を打つ人たち▼座席一列分の半分以上の人が画面を見ていることもしばしば。なかなかの光景です。いつからこんなに増えたのか、携帯電話は人の生活スタイルさえ変えているようです▼この技術のもとをたどれば20世紀前半の基礎科学である量子力学に始まるそうです。昨年の政府の行政刷新会議で科学研究予算の廃止や大幅削減の判定が相次いだ際、緊急会見したノーベル賞受賞者がそう話していたことを思い出します▼昨日の事業仕分けでも、科学研究にかかわる事業がまた議論されていました。たとえば応募された研究課題の審査を行い研究者に配分される科学研究費補助金。「国家戦略的な観点でなく、なんで審査するのか、わからない」。これは枝野行政刷新相の質問▼民間の仕分け人といわれる金融関係者は「税金が入りアウトプットまで期間が長く不確実性がある以上、疑念があるわけで、それを説明する制度設計が必要」と▼補助金は研究者の自由な発想にもとづいて多様な研究を支援し、基礎研究の発展にとって重要な役割を果たしています。政府が大学の運営費交付金を毎年減額するなかで、研究者は科学研究費補助金がなくては研究ができない状況が広がっています。日本の学術の将来にかかわる現状にあるのに、そんなこともなんら議論されないで仕分けされる「仕分け」とは何なのでしょうか。