2010年4月27日(火)「しんぶん赤旗」
鳩山首相政治団体
7年近く無届け
母提供資金 収支の全容示せ
鳩山由紀夫首相が率いる政策グループ「政権公約を実現する会」が2月初旬に東京都選挙管理委員会に政治団体の届け出をしていたことが、26日までにわかりました。前身の「政権交代を実現する会」結成から7年近く無届けにして、政治資金収支報告書の提出義務などを逃れてきたことになります。
実現する会の前身は、2002年9月に旗揚げした「鳩山政権を実現する会」。その後、「民主党政権を実現する同志の会」(03年1月)、「政権交代を実現する会」(同年5月)と名称を変更し、昨年9月、総選挙結果を受け、現在名となり、大畠章宏衆院議員(茨城5区)が会長に就任しました。ことし1月現在、約60人の国会議員が参加しています。
参加議員のホームページなどによると、同会は、毎週木曜日に国会近くの鳩山氏の個人事務所で「勉強会」を開いたり、年2回、軽井沢のホテルで評論家やジャーナリストらを講師に「合宿研修」を開催しています。
08年8月の合宿研修には、鳩山グループの議員や候補者のほか、菅直人代表代行(当時)らもかけつけ、総勢100人を超す盛況となり、鳩山幹事長(同)が、「『道路よりも命を』というスローガンのもと、社会福祉重視の政治を目指す」と訴えました。
こうした活発な活動をしていながら、「実現する会」は、政治団体としての届け出を行っていませんでした。
これは、他の民主党幹部の政策グループ「凌雲会」(前原誠司国土交通相ら)、「国のかたち研究会」(菅副総理ら)などが、政治団体として届け出を行い、収支報告書を提出してオープンにしているのと対照的です。
鳩山氏の政治資金を一手に扱い、政治資金規正法違反(虚偽記載)で有罪判決を受けた勝場啓二元公設第1秘書が、「政治活動費が足りなくなった」として、鳩山氏の母親側に働きかけ、月1500万円という巨額な資金提供が始まったのは、02年の夏のことです。「鳩山政権を実現する会」旗揚げと時期が重なります。
03年の総選挙の際、勝場氏が民主党新人候補側に200万円の陣中見舞いを渡したという裏金疑惑も報道されています。
日本共産党の井上哲士議員は1月28日の参院予算委員会で、実現する会が、政治団体としての実態があるのに7年近くも無届けにしたのは、収支報告書の提出義務や寄付金の量的制限の規制を逃れていた疑惑があると指摘。さかのぼって収支の実態を明らかにするよう求めました。
母親から提供されたカネが、勢力拡大に使われたのではないのか。首相には、「実現する会」の活動の全容も明らかにする必要があります。