2010年4月26日(月)「しんぶん赤旗」

福知山線事故5年

心身の傷いまも

JR西 問われる社会的責任


 事故現場の照り付けるような日差しに、負傷者のひとりは「当日もこんな日だった。ありありと思い出す」と静かに語りました。107人が亡くなり、562人が負傷したJR福知山線脱線事故から5年がたった25日。献花台が設けられた兵庫県尼崎市の現場には早朝から遺族や負傷者らが多く訪れました。心身両面に深く刻み込まれた傷は被害者を今も苦しめています。


 大学生の孫娘(当時18歳)を亡くした女性(77)=同市=は、「成人式も迎えられず、かわいそうでならない。代わりたかった」と涙を浮かべます。胸に抱くのは「会いたい」との一念です。

 1両目に乗って重傷を負った会社員の男性(23)=伊丹市=は、大学生時代を「事故からの克服」に費やしたと言います。電車の揺れに恐怖心がぬぐえず、仕事も「後遺症できびしい」と語ります。

 事故で負傷した島原直子さん=神戸市北区=は「事故の時間にこの場所にはいたくない」と昼すぎに来ました。「法律どうこうより、JR西は社会的責任を重く受け止めてほしい」と声を強めます。

 被害者のJR西に対する不信感は募るばかりです。事故調査報告書をめぐる情報漏えい問題の検証チームの一員でもある、負傷者の小椋聡さん(40)は「真相究明がまったくあやふやなまま」だと批判。「安全を構築する会社にならないと(私たちは)被害を受けただけで終わりになる」と話しました。


共産党議員らが献花

写真

(写真)献花する(左から)義村、宮本、穀田、堀内、練木の各氏ら=25日、尼崎市

 JR福知山線脱線事故から5年を迎えた25日朝、日本共産党の穀田恵二国対委員長・衆院議員と宮本岳志衆院議員、堀内照文参院兵庫選挙区予定候補らは兵庫県尼崎市の事故現場を訪れて献花し、犠牲者を追悼しました。

 堀内氏は、「5年たっても被害者、遺族の心の傷は癒えることがありません。JRは安全第一の公共交通としての責務を自覚してほしい。規制緩和で安全をないがしろにした政治の責任が問われます。政治の責任を果たさせるため力を尽くしたい」と語りました。

 練木恵子県議、義村玉朱尼崎市議らが同行し献花しました。





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