2010年4月17日(土)「しんぶん赤旗」
社会リポート
サトウキビの島壊すな
普天間基地「移設」反対
鹿児島・徳之島 あす1万人集会へ燃える
米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「移設」先として政府が検討をすすめる鹿児島県徳之島。18日には同島で、3度目の反対集会となる1万人大集会が開かれます。天城町、徳之島町、伊仙町合わせて人口2万7000人の4割が参加する文字通りの“全島集会”です。大集会に向けて高まる島民の思いを現地で追いました。(山本眞直)
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「見てくださいよ。サトウキビ畑を」と自慢げに語るのは「徳之島の自然と平和を考える会」の吉玉誠一さん(65)=農業=。指さした先には南北4キロの長さで土地改良された畑が広がります。
吉玉さんの表情が一変します。「農水省が土地改良した農地ですよ。スプリンクラーもつけて立派になり、農家も農業に本格的に取り組もうという矢先に、ここを米軍基地にするという話が鳩山政権から飛び出した。とんでもないことだ」
鳩山首相に近い民主党の牧野聖修衆院議員が、徳之島の基地移設賛成の人物と現地調査したのがここ天城町瀬滝地区です。
政府は徳之島に1800メートルから3000メートル級の滑走路を陸上部に建設、米軍普天間基地のヘリ部隊を「移設」させるというのです。
瀬滝地区に隣接する当部地区の農業、松村太一さん(65)は4月にはいった日の午後、黒っぽいヘリが瀬滝の上空を何度も旋回しているのを目撃。「自衛隊が航空写真を撮ったのではないか」と緊張気味に語り、「海兵隊が島にきたら怖いよ、米兵犯罪や事件を考えたら絶対に嫌だ」。
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島の東側、徳之島町花徳で電気店を営む富田保子さん(59)は、「トミタ電器は基地移設に絶対反対です」と手書きした黒板を店の前にかかげています。「人口2万7000人の小さな島に1万人もの海兵隊が来たら、子や孫たちと安心して暮らせなくなる。黙っていられない」
「島が丸ごと米軍基地になることに島民はオーケーするはずがない」と力説するのは18日の1万人大集会実行委員会の代表の一人、「徳之島の自然と平和を考える会」の椛山幸栄会長です。
1枚のビラを手に話しました。昨年12月25日に徳之島町文化会館で、創作劇『北緯二十九度線』を住民参加で上演、満員にしたときのものです。この日は徳之島を含む奄美群島が、米軍占領下から日本復帰した日です。
「占領下の苦しみと日本への復帰運動に参加した無名の人々を顕彰しながら、徳之島の自立を描きました。その自信をもとにがんばろうとした矢先に鳩山政権が米軍基地、つまり戦争につながるものをもちこもうとしている」と椛山さん。続けていいます。
「占領時代に逆戻りさせるような米軍基地計画を私たちは絶対に許さない。圧倒的な住民の反対が天城、徳之島、伊仙3町長を支えている。1万人大集会を成功させ政府に撤回をせまる」