2010年4月17日(土)「しんぶん赤旗」
核兵器更新の是非も
英総選挙 3党首、テレビ討論
【ロンドン=小玉純一】5月6日投票の下院総選挙を控えた英国で15日、主要3党の党首によるテレビ討論が行われ、議論は、同国のトライデント核兵器システム更新の是非にも及びました。討論に参加したのは、与党労働党のブラウン首相、野党第1党保守党のキャメロン党首、野党第2党自由民主党のクレッグ党首。
国内総生産(GDP)の11%に膨らんだ財政赤字の下で経済・財政運営が問われるなかで、労働党のブラウン首相は今年度は景気回復を優先すると強調。保守党の主張する早期の歳出大幅削減が景気回復を危うくすると批判しました。これに対し、保守党のキャメロン氏は、労働党が来年4月実施を計画している国民年金保険料の1%値上げは景気に打撃となると非難しました。
自由民主党のクレッグ氏は、歳出削減策の一つとしてトライデント更新中止を主張しました。これに対しキャメロン氏は核抑止力の必要を説き、ブラウン首相は多国間の核軍縮交渉を主張しました。
アフガン問題では3党とも英軍派兵支持で一致しており、議論は英軍撤退問題でなく英兵を戦死させない装備の調達が焦点となりました。クレッグ氏の議論は、トライデントよりアフガンの英軍を財政上優先すべきというものでした。
党首によるテレビ討論は90分間で生放送され、移民、教育、国民保健サービス(NHS)など多岐にわたるものとなりました。テレビ討論は投票日まであと2回予定されています。
英紙タイムズ、討論を放送したテレビ局ITVの世論調査では、支持率第3党の自由民主党のクレッグ氏が討論の「勝者」とされています。
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