2010年4月15日(木)「しんぶん赤旗」

全国都道府県委員長、地方議員・候補者会議

志位委員長の報告


 日本共産党の「全国都道府県委員長、地方議員・候補者会議」(13日)でおこなった志位和夫委員長の報告とまとめの発言は次の通りです。


写真

(写真)報告する志位和夫委員長=13日、党本部

 参加された同志のみなさん、CS通信、インターネット中継をご覧の全国のみなさん、おはようございます。

 私はまず、参議院議員選挙の勝利をめざし、日夜を分かたぬ奮闘をされているみなさんに、中央委員会を代表して、心からの敬意と熱い連帯のあいさつを送るものです。(拍手)

 予想される参議院選挙の公示日まであと七十二日、歴史的たたかいは目前に迫りました。

 この会議をもった目的は、参議院選挙にむけた現在の情勢をどうとらえ、どうやって躍進への道を開くかについて、全党が深い政治的一致をはかり、全国で三千人をこえる地方議員・候補者のみなさんが、四十万の党員、二万二千の党支部と心一つに、この歴史的たたかいに総決起するための意思統一をはかることにあります。

一、情勢をどうとらえ、どのように働きかけるか――党大会決定を指針に

(1)新しい政治への国民的探求が、新たな局面を迎えている

 報告の第一の主題として、現在の情勢をどうとらえ、どのような政治的構えで働きかけるかについてのべます。

 第二十五回党大会決定は、総選挙後の新しい情勢を「過渡的な情勢」と特徴づけ、「国民が、新しい政治を本格的に探求する『新しい時期』がはじまった」とのべました。そしてさまざまな政治的体験を通じて国民の認識が発展し、日本の政治を大本から変える新しい政治に接近する必然性があることを明らかにしました。

 国民が自公政権に退場の審判を下した総選挙から八カ月。この党大会決定を指針にいまの情勢をとらえてみましょう。私は、八カ月の政治的体験を経て、新しい政治への国民的探求が新たな局面を迎えているということを強調したいと思います。

民主党政権――肝心要の問題で期待と公約に背く裏切りを重ねる

 民主党政権はどうでしょうか。新政権には、古い自民党政治からの転換の願いが強く寄せられました。しかし、内閣支持率の急速な下落に示されているように、国民の多数から「期待はずれだった」という失望の声が広がり、それは怒りへと変わりつつあります。これは、国民が「ここを変えてほしい」と願っている肝心要の問題で、新政権が期待と公約に背く裏切りを重ねてきた結果にほかなりません。

 民主党政権は、後期高齢者医療制度について、「すぐ廃止する」という公約を投げ捨て、四年後に先送りしました。しかも「廃止」とともに導入する「新制度」として検討されているのは、「七十五歳以上」を「別勘定」とする現行制度を、「六十五歳以上」に拡大するというものです。「姥(うば)捨て山」の拡大であります。四年後に先送りしたあげく、「姥捨て山」の「入山年齢」の十歳前倒しという改悪案を俎上(そじょう)にのせる。こんなひどい公約破りはないではありませんか。

 労働者派遣法の改正問題でも、政府が提出した「改正」案は、「製造業派遣、登録型派遣の原則禁止」を言いながら、財界の圧力に屈して、「常用型派遣」「専門二十六業務」を「禁止の例外」とし、大部分の派遣労働――「使い捨て労働」を温存する、「名ばかり改正案」となっています。この間、無法な「派遣切り」とたたかい、労働者派遣法の抜本改正を求めて運動してきた人々の中に、この「改正」案を歓迎する声はまったくなく、失望と怒りが広がっています。

 普天間基地の問題で、民主党の公約は、「県外、国外」への移設というものでした。ところが、政府が米側に提示したと伝えられている案は、名護市・キャンプシュワブの陸上部に新基地を建設し、うるま市・ホワイトビーチの沖合の美しい豊かな海を埋め立てて巨大新基地を建設し、さらに鹿児島県・徳之島に訓練・機能を一部移転するというものであります。沖縄の地元紙は「これ以上悪い案は、思いつくことすら難しい」と、公約違反を厳しく指弾し、沖縄県民の島ぐるみの怒りが燃えあがっています。徳之島でも空前の反対運動が広がっています。一方、米側は、「地元合意のない提案は交渉の対象とならない」としており、政府・与党の「移設論」は完全な行き詰まりに突き当たっています。

 日米核密約の問題で、新政権は発足当初「密約の調査、公開」という方針を打ち出したので、わが党は資料の提供をおこない協力を表明しました。ところが三月、政府が発表した報告書は、わが党が十年前の国会で明らかにした「討論記録」の存在を認めながら、それを核持ち込みの密約と認めないという、歴史の事実を偽造する内容でした。核密約を核密約と認めなければ、廃棄もできず、核兵器を搭載した艦船・航空機の日本への立ち入りの危険は続き、非核三原則が守られる保証はなにもない、ということになります。

 「政治とカネ」をめぐる問題が、鳩山首相の疑惑、小沢幹事長の疑惑、小林議員の北海道教組のヤミ献金問題など、つぎつぎと噴き出しました。ところが、そろって、「秘書、担当者がやった」、「私は知らない」、「説明しない」、「責任をとらない」――“ほおかむり四点セット”ともいうべき態度をとりつづけています。これでは自民党の金権体質といったいどこが違うのか。ここでも国民の不信と批判が大きな怒りとなって広がっています。

 これらの諸問題にくわえて、大会決定が「民主党固有の否定的政策」として警戒をよびかけた一連の問題が顕在化しています。「国会改革」の名で、内閣法制局長官の答弁を禁止し、歯止めのない解釈改憲に道を開く、強権的国家づくりの一歩がすすめられようとしています。「地域主権」の名で、保育などの規制緩和の推進、「義務付け・枠付けの廃止」と補助負担金の「一括交付金」化など、国による社会保障などの責任放棄をすすめる動きも、すでに重大な矛盾をひきおこしています。この両者は、反動的な国家改造という点で表裏一体のものであります。民主党政権の政権運営や国会運営にあらわれている強権的姿勢にも、多くの国民が不安と危惧(きぐ)を感じています。

 これらの民主党政権の一連の逆行、行き詰まりの根源には、大会決定が指摘したように、新政権の政策・路線には「二つの異常」――「異常な対米従属」、「大企業・財界の横暴な支配」――から抜け出す立場がないという大問題が横たわっています。

 後期高齢者医療制度の問題も、労働者派遣法の問題も、前向きの方向に本格的に踏み出そうとすれば、大企業に社会的責任と負担を求めるという立場への政策転換が必要になります。普天間基地の問題も、日米核密約問題も、本気で解決をはかろうとすれば、異常な米軍基地国家の現実を「抑止力」として合理化する対米追随外交からの転換が迫られます。

 この八カ月の日本の政治の動きは、国民の暮らしと平和を守るうえで、日本の政治が「二つの異常」から抜け出すことがどんなに大切かを、民主党政権という“反面教師”を通じて証明したということを強調したいと思います。(拍手)

国民は「二大政党」にまるごと不信と批判を向けつつある

 新しい政治局面のもう一つの特徴は、民主党への失望と怒りが広がるとともに、それが自民党への支持の回帰にはまったくつながっていない、ということであります。

 自民党は、あれだけ痛烈な退場の審判を受けながら、いまに至るも総括も反省もありません。ですから自分が進むべき道もわかりません。もちろん日本の進むべき道は示せません。消費税を増税せよ、名護市に新基地をつくれなど、政治をより悪くする立場での新政権攻撃に終始しています。そのなかでつぎつぎに離党者が続出し、政党としての崩壊過程が始まっています。

 「しんぶん赤旗」日曜版に連載マンガを執筆しているやくみつるさんは、自民党の機関紙「自由民主」編集部に頼まれて一文を寄稿していますが、編集部がやくさんの一文につけた表題は「自民党はすでに死んでいる」。やくさんいわく、「要はもう、大変お気の毒ですが、お亡くなりになってるんじゃないでしょうか。……『亡くなった』とあえて宣告したのは、与党としては勿論(もちろん)、もはや野党としても蘇生(そせい)の見込みがないと診断したからです」。たいへん痛烈な批判ですが、国民の多くはこの党をそう見ているのではないでしょうか。

 こうして、日本の政党状況は一年前とはまったく様変わりしました。一年前の総選挙にむかうこの時期を思い出してください。「自民か、民主か」、そのどちらかを選べ、という「二大政党」論が花ざかり、猛威をふるっていたではありませんか。ところがいまでは、「民主党には失望した、しかし自民党への逆戻りもごめん」という声が大きな流れになっているではありませんか。すなわち国民は、「二大政党」にまるごと不信と批判をつきつけつつあるのであります。読売新聞は、「無党派層5割 2大政党離れが一段と深刻に」と題する社説を書きましたが、財界主導ですすめられてきた「二大政党づくり」の動きが、もくろみどおりにいかなくなっているのです。つくるはなから崩れつつあるのです。

「二重の体験」を経ての無党派層の広がり――党躍進の大きなチャンス

 このもとで、無党派層が新たな広がりを示しています。この人々は、長年続いた自民党政治をきびしく拒否するとともに、民主党政権にも失望したという、いわば「二重の体験」を経て広がった無党派層であります。この流れには、試行錯誤や逆流のもちこみもありますが、「古い政治を変えてほしい」という志において、私たちと方向性を共有しうる流れであります。

 私は、大会への中央委員会報告で、「(民主党政権に)『期待はずれだった』という声も少なからず広がっています。しかし、そうした声が、簡単には『自民党政治の復活』を許すものではないことも明らかです。それは、さらにすすんだ政治への探求の流れになりうるものであります」とのべましたが、まさに、「さらにすすんだ政治への探求の流れ」になりうる巨大な動きが起こっているのであります。無党派の人々と日本共産党との共同の広大な条件が、目の前で広がっているのであります。

 そのことは、私たちの訴えが届いたところで起こっている全国各地の変化でも実証されています。私は、ここで、最近、わが党の事務所に寄せられた三人の有権者の声を紹介したいと思います。

 まず、先日、福島県郡山市でおこなわれた、わが党の演説会に参加された、昭和九年生まれの年配の方から寄せられた手紙です。「さまよえる有権者」という表題がつけられています。読み上げましょう。

 「長い間自民党政治に従属させられてきて、真綿で首を締めつけられるように圧迫感をおぼえてきました。それが民主党によって光を感じました。『後期高齢者医療制度』の廃止ほか、もろもろの公約です。それが半年もたたないうちに一夜の夢のように消えつつあります。あっという間の裏切り。必ずやると言い続けた彼らの情熱は仮面だったのか。自民党末期のコピーを見ているようです。信頼している友人のお誘いで共産党の演説会に初めて出席しました。我々の年代は共産党にたいしてのイメージに偏見をもっていました。暗い、怖い革命家、そして虐げられ続けた政党。それが演説会に参加して、霧が晴れたように払拭(ふっしょく)されました。その明るい雰囲気に、久しぶりにふつふつと血が騒ぐのを覚えました。残されたわずかな人生、共産党に賭けてみようかと思いました。声をかけていただいた友人が、女神のように感じた演説会参加でした」。(拍手)

 つぎは、これも福島県の若い方からのメールです。

 「はじめまして。よろしくお願いします。僕は昨年の総選挙で民主党に期待し、一票を投じました。これで日本は変わる、そう思いました。しかし、変わらないということが分かる時がこんなにも早くくるとは……。今、ようやく共産党に肩入れする気になりました。で、どうすればいいのでしょう。入党するのにどの位費用がかかりますか。投票用紙になんて書けばいいのか、それは分かります。それ以上のことは何をすればいいのか、それを教えてください」。(拍手)

 さらにもう一つ、これは福井県のサラリーマンからの電話です。

 「これまで、入れる党、入れる党、ダメで、いまからは共産党にしようと思っています。実は、総選挙では民主党に入れてしまいました。ところが一年たって裏切りです。共産党のホームページをみて、企業からお金をもらっていない、政党助成金をもらっていない、『赤旗』や個人の寄付や党員のお金でなりたっていることが分かりました。非常にいいと思います。共産党にカンパをするのは国民の義務だと思いました(笑い、拍手)。お酒をひかえ、小遣いをためて共産党へのカンパにしようと思っています(拍手)。共産党について、これまでは意味のない政党だと思っていましたが、よく知らないでいたことを反省しました。パッと目覚めた感じです。これからは共産党をずっと支持します。浮気はしません(笑い)。名前を変えないのが良い。名前を変えたり、コロコロあちらこちらにつくのは信頼できません。共産党という党があってよかった。これで安心して投票できます」。(拍手)

 こうした声は、全国各地にも起こっているのではないでしょうか。大会決定は、国民が自らの切実な要求を実現することを出発点にしながら、政治的体験を一つひとつ積み重ねるなかで、日本の政治をさらに前にすすめる自覚と力量を高めていくとのべましたが、まさにそのことを示す生きた動きであります。もちろんこうした動きはまだ部分であり、萌芽(ほうが)だと思います。しかし、わが党の働きかけいかんでは、これは大河のような流れになる、そういう必然性があるということを、私は強調したいと思うのです。

 さきほど私は、民主党政権が、国民が「ここを変えてほしい」と願っている肝心要の問題――後期高齢者医療制度、派遣労働、普天間基地、日米核密約、「政治とカネ」などで、国民の期待と公約に背く裏切りを重ねてきたとのべました。これらの肝心要の問題こそ、自公政権を退場させた国民の切実な要求であり、エネルギーであります。それがいま、民主党政権の裏切りによって、これらの要求の実現を主張し、国民とともにたたかっている政党は、私たち日本共産党だけになっているのであります。

 もともとこれらの要求は、どれをとっても「決定的場面」で日本共産党だけが、国民の利益にかなう立場を貫き、それがやがて国民多数の声となる中で、民主党の公約ともされた問題でした。いまふたたび政党では、日本共産党だけが、これらの国民要求実現の担い手となっていますが、この間に、どの問題でも国民のたたかいが広がり、新しい政治を求める国民の願いは、はるかに広く深いものとなりました。

 いま私たちが、日本共産党こそが国民要求にこたえ、政治を前にすすめる新しい政治の担い手だということを、広い国民の中に伝えきるならば、きたるべき参議院選挙で躍進を勝ち取る大きなチャンスが、目の前に広がっているのであります。同志のみなさん、ここに確信を持って、広い国民の中に、打って出ようではありませんか。(拍手)

新党と呼ばれる動き、「第三極」を標榜する動きについて

 なお、新党と呼ばれる動き、「第三極」を標榜(ひょうぼう)する動きについて、一言のべておきたいと思います。

 「自民も、民主もダメ」という流れに乗って、いろいろな新党が生まれていますが、それをはかるモノサシは、国民に退場宣告を受けた古い自民党政治を転換する立場を持っているかどうかにあります。ある党は、「小泉改革では不十分だ」などと、あれだけ貧困と格差を広げた「構造改革」路線をいっそう推進せよと、呼号しています。ある党は、「消費税増税と憲法改定」を最大の看板にかかげて、「たちあがれ」といって登場しました(笑い)。新党とは名ばかりです。これらはすべて、すでに国民に退場の宣告を受けた、破綻(はたん)した古い政治そのものではありませんか。(拍手)

 公明党は、「第3極の担い手」、「政策実現をめざす野党」を標榜していますが、この党もまた、十年間にわたる悪政の共同執行者だったことを忘れてしまったのか。総括も反省もないではありませんか。だいたい公明党は、「予算に反対する野党には実績はない」などとわが党をさんざん攻撃してきたのに、「政策実現をめざす野党」とは、いったいどういうことでしょうか(笑い)。公明党は、自分が野党になった場合の自らの党の存在意義を説明できないでいるのであります。

 さまざまな新党にせよ、公明党にせよ、どれも国民の暮らしと平和を壊した十年間の自公政権の担い手だった勢力、その閣僚もつとめた面々が、沈みゆく「泥船」と化した自民党から逃れて、生き延びようというものであり、これまでの自らの政治に反省すること抜きに、新しい日本を開く力は決して生まれないということを、私ははっきり指摘しておきたいと思います。(拍手)

(2)どのように働きかけるか――三つの政治的構えで

 新しい政治への国民的探求が、新しい局面を迎えている。このもとで、私たちはどのように国民に働きかけるか。私は、参議院選挙での躍進をめざして、つぎの三つの政治的構えで、打って出ることを呼びかけたいと思います。

切実な要求から出発しながら、行き詰まり打開の展望を大いに語ろう

 第一は、切実な国民要求から出発しながら、政治の行き詰まり、閉そく状況を打開する展望――「二つの異常」をただす日本改革の展望を大いに語ろうということです。

 私は、とくにいま、展望を語ることの重要性を強調したいと思います。少なくない国民はいま、自公政権にせっかく退場の審判を下したにもかかわらず、代わって登場した民主党政権にも期待を裏切られる、そういうもとで政治の行き詰まりと閉そく感を感じています。これは「さらにすすんだ政治への探求ともなりうる」ものですが、私たちの声が届かなければ、政治全体への不信となり、選挙では棄権となるか、メディアなどが持ち上げる新党などへの幻想にとらわれることも起こりえます。私たちが、綱領や大会決定を縦横に活用して、「国民の力で政治は変えられる」、「日本の政治をこう変える」という展望を語ることが、こんなに大切な時はないということを、強調したいのであります。

 たとえば日本経済をめぐって、わが党が国会論戦や東京や大阪での経済懇談会でも、明らかにしてきたように、この十年間、日本は「成長が止まった国」、「国民が貧しくなった国」という、世界でも異常な事態に落ち込んでいます。

 自民党政権は、「構造改革」の掛け声で、「強い企業をもっと強くする。そうすればいずれは暮らしが良くなり、経済が成長する」という、新自由主義の経済政策をしゃにむにすすめてきました。しかし大企業は巨額の利益をあげたが、それは少しも国民の暮らしにまわらず、過剰な内部留保となって蓄積されました。自民党流の「成長戦略」が破綻したことは、十年間の事実が証明しました。

 この事実を前にしていま、民主党と自民党の双方が、相手に対して「成長戦略を持っていない」という批判合戦をやっていますけれども、「財界中心」の枠組みから抜け出せない両党には、彼らなりの「成長戦略」――日本経済のこの深刻な危機をどう打開するかの経済戦略を示すことができなくなってしまっているのです。

 そうしたもとで、日本共産党は、国民の立場に立ったホンモノの「成長戦略」をさし示している唯一の政党であります。わが党は、この間、東京と大阪で経済懇談会を開き、「経済危機から国民の暮らしを守るために政治は何をなすべきか」という立場から、「五つの提言」をおこなってきました。

 「五つの提言」の一つひとつ――「人間らしい雇用のルールをつくる」、「大企業と中小企業との公正な取引のルールをつくる」、「農林水産業の再生にむけた政策転換をはかる」、「社会保障の削減から本格的充実への転換をはかる」、「財源問題で『二つの聖域』にメスを入れる」などは、どれも国民の切実な要求をまとめあげたものです。

 同時に、私たちの政策体系というのは、ただ要求を並べたものではないのです。これらの全体を通じて「ルールある経済社会」への改革をすすめることは、日本経済の危機を打開し、家計・内需主導の健全な成長の軌道にのせるうえでの抜本的な処方箋(せん)ともなっているのであります。

 わが党は、大企業の過剰な内部留保と利益を、国民生活に還元する、経済システムの転換を主張してきました。ある週刊誌は、これを「“革命的”経済成長戦略」と注目を寄せ、ある財界系シンクタンクも「過剰な企業貯蓄」の社会的還元を求めるリポートを発表するなど、わが党の主張は、経済危機打開を真剣に考えるならば、誰でもその結論に行き着かざるをえない、最も合理的方策として、社会的注目や共鳴を広げつつあります。

 このように、国民の切実な暮らしの要求にこたえながら、日本経済の前途についての建設的な展望を示しているところに、わが党の経済政策の何よりもの特徴があるということを強調したいと思うのであります。

 また、外交問題の最大の焦点となっている沖縄・普天間基地問題で、わが党は、一貫して、「移設条件付き返還」でなく「無条件撤去」を求めて本腰を入れた対米交渉をおこなうことこそが唯一の解決方法であること、そのためには「海兵隊は平和を守る抑止力」という呪縛(じゅばく)を打ち破ることが不可欠であることを主張し続けてきました。この立場にこそ問題解決の展望があることは、政府・与党の「移設先探し」が完全に行き詰まり、袋小路に陥ってしまっているという事態の進展そのものからも明らかとなっています。

 日本共産党が、こうした問題解決の根本的道筋、根本的展望を揺るがず打ち出せるのは、わが党が、日米安保条約を廃棄し、独立・平和の日本を築くことを当面する日本改革の根本目標にすえているからにほかなりません。

 同志のみなさん。「移設ではなく無条件撤去を」、「抑止力の呪縛を打ち破ろう」という問題解決の展望を、沖縄県民、国民全体のものとし、「基地のない沖縄」「基地のない日本」をめざすたたかいを、文字通りの国民的なたたかいへと発展させるために、沖縄と本土が連帯して、力をつくそうではありませんか。(拍手)

働きかけの規模を、全有権者対象に思い切って広げよう

 第二は、働きかけの規模を、文字通りの全有権者規模に思い切って広げようということであります。

 この間、農協、森林組合、医師会など、これまで強固な自民党の支持基盤とされていた団体が、自民党政権が崩壊するもとで、「全方位」――すべての政党と対話・交流するという道に踏み出すという大きな変化が起こっています。そして選挙に対する態度も、最近、全国農業者農政運動組織連盟(農政連)が「自主投票」を正式に決定するなど、「政党支持の自由」という最も民主的なあり方への転換という変化がすすんでいることに、私は心からの歓迎の気持ちをのべたいと思います。(拍手)

 そして、「全方位」、「自主投票」という立場で、各党の政策を見比べてみると、日本共産党が一番近いところに立っていたことがわかり、心通う交流が全国各地に広がっているのは、うれしいことであります。

 千葉県では、二月に、県医師連盟と日本共産党県委員会が、事実上の共催で大規模な懇談会をおこないました。私も参加いたしました。懇談会では、県医師連盟の藤森委員長がこうあいさつされました。「千葉県医師連盟は全国に先駆けて日本共産党と懇談します。患者さんのためという点では共産党とはまったく一緒で、一から十まで納得できます。これまで自民党を支持してきましたが、医療費抑制がどんどんおこなわれ、一党支持ではいけないと教えられました」。続いてつぎつぎと地域の医師会長さんがあいさつをされ、ある病院長さんは、「私は勧められて『しんぶん赤旗』を取りましたが、とても良い新聞です。文化の薫りがします。ぜひお読みください」(拍手)。こういう激励もいただくなど、温かい交流がおこなわれました。

 香川県では、三月に、県革新懇が呼びかけた「農業と林業の今と未来を考えるつどい」が大きく成功しています。この「つどい」は、県農協中央会会長、県森林組合連合会会長、政府の食料・農業・農村政策審議会会長代理を務めてこられた鈴木宣弘東大教授、そして日本共産党の代表が、そろって参加する画期的な集まりとなりました。あいさつされた県農協中央会会長は、前日、同じ会場で農水省が戸別所得補償の説明会を開いたことを紹介し、「これと引き換えに自由化を進めようとしているのではないかと懸念している」とのべました。東大教授の鈴木宣弘さんも、「日本の農業は過保護ではない。自由化と引き換えで農業再生はできない」との意見をのべるなど、農産物輸入自由化路線に対するきびしい批判が出されました。「農業、林業を守る国民的合意こそ大事」という、農林業再生の大道での大きな一致が得られたシンポジウムとなったと聞きました。

 民主党政権が、国民の期待と公約を裏切るという状況のもとで、これまで民主党に期待を寄せていた人々も含めて、新たな共同が広がっていることも注目されます。

 首都圏の医療、民主団体、労組が開いた「安心の医療実現! 4・3大集会」は、一万人を超す参加者を集め、大成功をおさめました。参加者のみなさんが、緑色の「いのち」という紙をもって、いっせいにそれを掲げたときは壮観でした。ここに、元連合会長の笹森清さんが、「後期高齢者医療制度に怒ってる会」として、つぎのような連帯メッセージを寄せました。「後期高齢者医療制度が導入されて二年。人間を踏みにじる制度への怒りが政権交代の原動力となり、現政権は同制度を撤廃することを表明しました。しかし、次の制度設計まで三年もかかり、それまで現制度が存続することについては、即時撤廃を願う高齢者にとって納得できるものではありません」「一日も早く後期高齢者医療制度が撤廃され、安心して医療にかかれる、安心して医療に従事できる国民皆保険制度になるよう、皆様と思いを共有し、ともに頑張る決意を表明します」。

 労働者派遣法の改正をめぐっても、政府・与党の対応への批判が高まっています。四月七日、日弁連が主催して、「これで本当に大丈夫!? 労働者派遣法『改正』案の問題点を正す院内緊急集会」が開かれました。出席した民主党の議員は、つぎのように発言したそうです。「先日、弁護士会の方から資料をちょうだいして、これを見て、本当にみなさんにあわせる顔がないという心境です(笑い)。こういう問題点があるのかということで正直言ってショックを受けました」、「ほんとうに穴があったら入りたい気持ちです」(笑い)、「ほんとうに申し訳ない気持ちです。ごめんなさい。すみません」(笑い)。これを「素直」というのか。しかし不勉強の罪というのは重いと言わなければなりません。わが党の議員の「政府案の『抜け穴』をふさいで本物の抜本改正を」という発言に、大きな拍手がわきおこったことと対照的でありました。民主党は「穴があったら入りたい」、わが党は「抜け穴をふさげ」(爆笑)、というわけであります。

 さきほど、国民は「二重の体験」をした――自民党政治はもうごめん、民主党にも裏切られたという体験をしたとのべましたが、そのもとで、これまで自民党の支持基盤だった組織にも、また民主党に期待を寄せていた人々にも、大激変が起こっているのです。大規模な政党支持の流動化、新しい政治への探求が国民的規模で起こっているのです。

 こうした大激動が起こっているときに、私たちの活動が従来の規模にとどまっていては、もったいない話ではありませんか。それでは、せっかくの条件をくみつくせないままに終わってしまうことにもなります。

 私は、大会決定が呼びかけた、「選挙活動の規模を抜本的に広げる」、「有権者の過半数との対話」という方針は、何よりも今日の情勢がそれを求めているということを強調したいと思います。そこを正面からつかんで、文字通り全有権者を対象として、広大な規模での選挙戦を展開しようではありませんか。(拍手)

日本共産党そのものへの疑問や意見をよく聞き、党への思いを語ろう

 第三は、日本共産党そのものへの疑問や意見をよく聞き、党への思いを語ろうということです。

 これまで党とのつながりがなかった人々との対話が広がれば広がるだけ、党そのものへの疑問や意見も多く出されます。「党名を変えたらどうか」、「イメージを明るくしてほしい」などです。国民との対話のなかで、政策的な共感を得るだけにとどめないで、それらの疑問や意見もよく聞き、党の姿そのものを大いに語ってこそ、支持を確実なものとすることができます。政策的な共感だけにとどまるか、それともそういう疑問まで解決するか、ここで大きく変わってくると思います。

 この活動を、難しく考えないことが、いま大切だと思います。いま有権者から寄せられる疑問や意見は、「政策は共産党が一番だ、そこで自分も投票したい、支持も広げたい」という思いからのものが多いのです。ですから相手の思いをよく聞き、日本共産党員だったら誰でも持っている自らの党への思い、誇り、入党の原点を語ることで、その多くが解決され、信頼の絆(きずな)が深まるのです。

 わが党への疑問や誤解を解決するうえで、もちろん党の理念、歴史、路線などへの疑問に丁寧に答えることが大切です。同時に、わが党の活動の実際を生の形で体験してもらう、日本共産党の素晴らしさを「体感」してもらうということも非常に大切です。「集い」や演説会に参加して、その明るさ、温かさに接しただけで、イメージがガラッと変わって、「これで安心して応援できる」という感想が出される。こうした報告が各地から寄せられています。「イメージを明るくしてほしい」と言われて、「私たちは明るい党です」(笑い)と口でいうだけでは、なかなか分かってもらえないこともあるかもしれません。「集い」や演説会に参加してもらい、ほんとうに明るく生き生きとした様子を実感していただくことが、こうした不安にこたえるうえで一番ではないでしょうか。

 その点でとくに、双方向でとりくまれる「集い」は、党への疑問を解きほぐすうえでも、きわめて重要な活動です。

 三重県亀山東支部では、党員のいない地域で二つの「集い」を開いたといいます。市議会議員の同志が演説中に、「一度わしらのところでも集まりを開いてほしい」と声をかけられたのがきっかけでした。訪ねてみますと、「場所と時間はわしらで決めるから、チラシだけはつくってほしい」と、事実上、自治会長さん主催の「集い」となりました。ビラを回覧板で回してくれ、自治会長さんが暖房から座布団まで用意してくれた。「話を聞いてほしい」、「話を聞きたい」、こういう思いがあるんですね。「集い」では、暮らしや地域の問題から、民主党政権への不満や批判、わが党への疑問も出されました。「共産党はいい政策を持っているのに、なぜ伸びないのか」との疑問に答えるなかで、「昔は共産党は怖いと思っていたが、こんなにやってくれるし、一家に一台、地域に一人は共産党議員が必要やなあ」(笑い)などの意見も語られたと聞きました。大会決定が強調したように、参議院選挙にむけて「集い」を百万人を超える規模でおこない、その場を党をまるごと理解し、「体感」してもらう場とするために、力をつくそうではありませんか。

 このように、ほんとうに新しい政治の担い手となる政党はどの党かと、国民が大規模な、新たな探求と模索をおこなっているただなかで、たたかわれる参議院選挙であります。やりがいがあるではありませんか。

 同志のみなさん。いまのべた三つの政治的構え――国民に政治を変える展望を語る、働きかけの規模を文字通りの全有権者規模に広げる、党への疑問をよく聞き党の思いを語る、この立場を堅持して、元気いっぱい、楽しく、これまでとりくんだことのないような壮大な選挙戦にみんなで挑戦しようではありませんか。(拍手)

二、参院選勝利をめざす活動と、地方議員・候補者のみなさんへの呼びかけ

(1)活動の到達点――いま本格的な前進・飛躍に転じられるかどうかが勝敗を分ける

 報告の第二の主題として、参議院選挙をめざす活動についてのべ、地方議員・候補者のみなさんへの呼びかけをおこないたいと思います。

 選挙戦勝利をめざす活動の到達点はどうでしょうか。

 私たちは、この間、「二つの基準」にもとづいて諸活動をすすめてきました。一つは、「六百五十万に見合う得票目標の実現を保障する速度と規模になっているか」、二つは、「宣伝戦でも組織戦でも他党を凌駕(りょうが)する活動になっているか」、であります。この点を引き続き基本におきつつ、いま劇的に進行している新しい情勢の特徴を踏まえたとき、もう一つ大事な基準があります。それは、「私たちの活動の水準が、新しい政治への国民的探求が、新たな局面を迎えているという、情勢にふさわしいものとなっているか」ということです。

 これらの基準で、私たちの活動の到達点をはかった場合、つぎの諸点が重要です。

 ――まず、私たちが、広く足を踏み出したところでは、予想を超えた変化が起こっています。農協、森林組合、医師会、中小企業、自治体関係者など、これまで保守の地盤とされてきた団体・個人との懇談が、全国どこでもとりくまれ、党への共感を広げています。全国遊説が本格的にスタートし、私たちも全国各地に伺っておりますが、多くのところでかつてない聴衆を集め、成功をかちとっています。これまでにない広い層にお誘いをし、初めての参加者が大きく広がり、聴衆の四割、五割が党外の方々というところも生まれています。国民の中に足を踏み出したところでは、情勢が党躍進の可能性をはらんでいることが、どこでも実感されています。

 ――同時に、到達点そのものは、選挙戦勝利を保障する規模と速度からは程遠いということを、直視する必要があります。政党ポスター「政治を前へ」の張り出しは46%、各都道府県の連名ポスターの張り出しは63%、「有権者の過半数」をめざす対話の総数は、積み上げで二百四十万を超えたところです。党勢拡大では、「しんぶん赤旗」読者拡大で、前回参議院選挙時比三割増をめざす奮闘のなかで、三月は、二月の一・七倍の読者を増やし、日刊紙、日曜版の両方、もしくはそのいずれかで十二県百四十八地区(47%)が前進をかちとりましたが、全党的には、増減差し引きではなお増勢の軌道に乗せられていません。党員拡大でも、一月から三月までに新たに二千八百人の新入党員を迎えたことはうれしいことですが、大会後に新しい党員を迎えた支部は6%にとどまっています。

 ――まちがいなく党躍進のチャンスが存在する情勢であるにもかかわらず、私たちの活動が一月から三月の活動の延長線上のとりくみで推移するならば、チャンスを逃しかねないということを、私は率直に指摘しなければなりません。

 勝利のためにやるべきことは、はっきりしています。いま私たちの活動を本格的な前進と飛躍に転じられるか。そのために、「支部が主役」で、全支部、全党員が、後援会員とともに総決起する態勢をすみやかにつくることができるかどうか。これが歴史的選挙の勝敗を分けます。参加された同志のみなさんが、「いまが勝負どころ」との覚悟をお互いに固めて、ともに知恵と力をあわせて、局面打開の大奮闘をおこなうことを、心から呼びかけるものであります。

(2)選挙情勢の新たな特徴と、選挙戦の方針の発展について

 私はここで、選挙情勢の新たな特徴を踏まえ、選挙戦の方針の発展について提起したいと思います。

選挙区選挙で各党が激しく争い、その動向が比例選挙にも大きく影響する

 今回の選挙情勢の新たな特徴として、各党が、選挙区選挙でしのぎを削るたたかいをおこない、それを比例選挙での前進のテコともするという戦術が顕著となっていることに、注目する必要があります。

 民主党は、一人区での必勝を目指すとともに、全国十二のすべての二人区で複数候補を擁立し、三、五人区でも多数擁立の方針をとっています。この間つくられている新党は、「民主に失望、自民はダメ」という流れの「受け皿」になろうと、一連の選挙区で候補者を擁立し、比例選挙での議席確保に連動させる作戦をとっています。国民から退場の審判を受けた自民党と公明党も、それぞれが選挙区での現有議席の確保、比例選挙での議席確保のために懸命のたたかいを展開しています。

 こうして今回の選挙では、選挙区選挙で多数の候補者が激しく争いあい、その動向が比例選挙にも大きな影響を与えるという、新しい特徴が生まれているのであります。メディアの報道は、もっぱら選挙区選挙に集中します。そのこともこの動向を加速する作用を果たすことになるでしょう。

「比例を軸に」を堅持しつつ、選挙区選挙をより攻勢的・積極的に位置づける

 こうしたもとで、わが党がどういう選挙方針をとっていくか。

 まず大会決定で確認した「比例を軸に」、「全国は一つ」――政党選択で日本共産党への支持の大波を起こすことを、比例と選挙区での選挙戦を統一する大きな土台、基本として堅持し、全党の一致結束した力で、比例代表で六百五十万票、五議席を絶対確保することを、あらためて強調したいと思います。

 同時に、選挙区選挙をより攻勢的・積極的に位置づける方針の発展を提起するものです。具体的には以下の方針でたたかいます。

 ――まず、小池晃政策委員長を比例から転じての候補者としてたたかっている定数五の東京選挙区では、議席を絶対確保するために全国的な支援もふくめ総力をあげます。

 ――つぎに、定数二〜三の十七の道府県の選挙区では、すべての選挙区で、本腰を入れて議席の獲得に挑戦します。大会決定では、「かつて議席をもったことのある北海道、埼玉県、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県で、積極的に議席獲得への挑戦」をおこなうとしており、もちろんこれらの府県の大奮闘が重要であります。同時に、今日の情勢の進展をみるとき、「かつて議席をもったことのある」というところで線を引く理由は、もはやありません。これまで議席を獲得したことのない宮城県、福島県、茨城県、千葉県、長野県、新潟県、静岡県、岐阜県、広島県、福岡県、これらの二人区、三人区でも、本腰を入れて議席の獲得に正面から挑戦することを提起するものです。(拍手)

 ――さらに、定数一の二十九の選挙区でも、勝利をめざし、議席を争う構えで、積極果敢なとりくみをおこない、得票の大幅増をかならず勝ち取るようにします。一人区では多くのところが共産党、民主党、自民党の三つどもえでしょう。しかしいまは、「民主党に裏切られた、自民党は二度とごめん」、これが多くの声なのです。ですから一人区も遠慮する必要はないのです(笑い)。一人区であっても、勝利にむけて大いに名乗りをあげて、積極果敢なたたかいをやろうではないかということを提起するものです。(拍手)

 こうして、「比例を軸に」を堅持し、政党選択で日本共産党躍進の波をつくりだすことをあらゆる活動の中心にすえながら、全国すべての選挙区で、議席を争う構えでの攻勢的・積極的なたたかいを展開し、ここでも躍進の波をつくり、比例選挙と選挙区選挙のとりくみを相乗的に発展させ、党躍進の流れをつくりだすようにしたい。これが選挙戦の方針の発展についての提起であります。(拍手)

情勢の変化、国民の思いにこたえた方針の発展

 この方針は、国民の多数が「民主に失望、自民に戻りたくない」という思いを強め、新しい政治への国民的探求が新たな局面を迎えている、今日の情勢の進展にそくしたものであります。

 民主党は、多数の候補者を擁立する方針だといいますが、そのスローガンは「参議院での単独過半数」というものです。しかし、昨日のNHKの世論調査でも、半分以上の人がそれを「望まない」と答えています。国民の中には、「これ以上民主党に議席をあたえたら不安だ」との声が、多数の声となって広がっているのです。また民主党は、これまで自民党支持だった業界団体を、民主党支持に変えようとしていますが、多くの団体で起こっている変化は、「政党支持の自由化」という健全な民主的な変化であります。民主党の思惑通りには事はすすまないのであります。

 一方、自民党は、「政権奪還」がスローガンです。しかし自民党に「政権奪還」されたら困る(笑い)、「自民党政治には二度と戻りたくない」というのが、国民多数の気持ちではありませんか。

 つまり、「二大政党」といいますが、どちらも国民の気持ちをつかむ「旗印」を選挙にむかって立てることができないでいる。そのすき間をぬって、新党などが議席を得ようとしていますが、どの党も古い政治をかえる「旗印」を立てられません。

 こういうもとで、わが日本共産党ががんばらなくてどうするのか、ということになるわけであります。そうですね。(笑い、拍手)

 「二大政党づくり」の動きに一貫して正面から対決し、日本の政治の「二つの異常」なゆがみをただす日本改革の旗印を旗幟(きし)鮮明にかかげる日本共産党が、「比例を軸に」を貫きつつ、選挙区でも思い切って攻勢的・積極的なとりくみをおこなうことは当然ではありませんか。同志のみなさん。そうしてこそ情勢にふさわしいたたかいを展開することができ、国民の期待にこたえるたたかいを展開することができ、躍進の道が開かれるということを、私は強調したいと思います。

(3)地方議員・候補者のみなさんに心から訴える

 この歴史的たたかいに勝利するカギを握っているのは、きょう集まられているみなさん方であります。日本共産党の三千人を超える地方議員・予定候補者のみなさんが、連続してたたかわれる自らの選挙と一体に、参議院選挙躍進のたたかいの先頭に立つことは、選挙戦の帰趨(きすう)を決定的に左右することになります。

 私は、中央委員会を代表して、全国の地方議員のみなさん、予定候補者のみなさんに、心からの呼びかけをおこないたいと思います。

参議院選挙を文字通り「自らの選挙」としてたたかおう

 第一の呼びかけは、参議院選挙を文字通り「自らの選挙」としてたたかおうということであります。地方選挙にくらべて国政選挙、比例選挙に力が入らない傾向を一掃しようということであります。

 この間の全国の活動の教訓は、この方針を正面からとらえたところで前進、飛躍が起こっているというところにあります。奈良県の県委員長からは、三月の活動の教訓、四月の強化方向について、つぎのような報告が寄せられました。

 「県内では、三月、奈良地区委員会が読者拡大で前進しました。ここと他の地区との違いは考えるべき点が多い。地区の指導部が、参院選のとりくみで本当に比例が正面に座っているか、去年の奈良市議選の時の三月のとりくみと比べてどうだと、とことん議論しました。去年も、『議会がある、あれがある、これがある』と大変でしたが、議会をやりながら、宣伝も対話も相当ながんばりを一心不乱でやっていました。それに比べて、『自らの選挙』になっていないのではないかと振り返り、以下のような結論を出しました。一つは、昨年の市議選を上回るとりくみをやってこそ比例が軸に座ったといえる。二つは、『これ以上回るところがない、増やすところがない』という議論は、『内なる壁』だ、考えてみれば『もう増えない』という声は去年の三月にもあったが、市議選勝利のため、あらゆる可能性をたぐってやりぬいた。四月は局面を変えるためにがんばります。新しく作った布製の赤い『日本共産党』たすきをかけてやります。平城京遷都千三百年のシンボルカラーも赤(笑い)。県民にがんばる日本共産党の姿をつたえたい」。(拍手)

 私がここで強調したいのは、わが党は全国に地方議員をもっていることが、参議院選挙勝利のうえでどんなに大きな力かということです。

 みなさんに二つの数字を紹介したいと思います。

 一つは、日本共産党が、この四年間に地方議員選挙で獲得した得票を合計するとどうなるかという数字です。都道府県議員選挙と市町村議員選挙との重複分は除いて、補欠選挙も除いて、それぞれの定例の地方選挙での四年間の最高の得票を全国的に合計してみました。そうしたら五百九十八万票に達するのです。私たちも計算してみて驚きました。得票目標の六百五十万票の92%にあたります。これだけの得票を、現にこの四年間の地方選挙で日本共産党公認候補が得ているのです。そのうち山形県、長野県、佐賀県では、参議院選挙の得票目標を上回る得票を、この四年間の地方選挙で獲得しています。もちろん、地方選挙と国政選挙では条件の違いがあります。しかし、日本共産党公認候補に、地方選挙でこれだけの得票が投ぜられたというのは、巨大な財産ではありませんか。この財産を生かしきるならば、六百五十万票は手の届くところにあるではありませんか。地方選挙で得た得票を、参議院選挙での比例と選挙区での日本共産党の得票に必ず結びつけ、さらに大きくふやす活動に、全党が心一つにとりくめば、六百五十万という得票目標を達成する条件は、大いにあるということに確信を持って、たたかいを展開しようではありませんか。

 もう一つは、この間の市町村合併の押し付けで、市町村の数が全国的にほぼ半減するもとで、全党のみなさんのがんばりで、わが党の地方議員団が、議席占有率を、この十年間で7・10%から8・12%へと1ポイントあまり前進させ、三千人を超える議員団を維持していることの力であります。総務省が先日発表した昨年末時点での政党別地方議員数は、日本共産党は三千二十六人、自民党の三千四十八人、公明党の三千八人にほぼ拮抗(きっこう)して、トップグループの一角を占めています。民主党の千五百三十四人、社民党の四百五十人をはるかに上まわります。さらに全国の自治体で党議席を持っている自治体の割合を見ますと、日本共産党は79・6%の自治体で党議席を持っています。これは公明党の65・4%、民主党の27・7%、自民党の20・6%、社民党の16・7%と比べて断然一位であります。議案提案権を持っている議員団を有している割合も、日本共産党は全自治体の47・1%と、半数近くに達し、断トツで一位であります。住民との結びつきの広さという点で、わが党地方議員団の存在感は群を抜いており、この力がさまざまな住民要求実現のために、議会を動かし、政治を動かす大きな力を発揮しているのであります。

 この二つの数字、なかなかのものですね。私たちの力に大いに自信を持とうではないですか。地方選挙で獲得した得票、地方政治に占める位置、これは地方議員、候補者のみなさんが、支部や党員と力を合わせて、日夜住民と結びつき、住民の苦難軽減のために献身し、その信頼を源泉として勝ち取ってきた、わが党にとっての巨大な財産だということを、重ねて強調したいと思います。

 私は、すべての地方議員、候補者のみなさんに訴えたい。参議院選挙勝利のために、この力をあまさず総発揮しようではありませんか。予想される公示まで七十二日です。いっせい地方選挙ならば、二月の時点です。そのときの活動をぜひ思い起こしていただいて、それを上回る活動にとりくんで、参議院選挙で必ず勝利者となり、いっせい地方選挙でも連続勝利を勝ち取ろうではありませんか。(拍手)

地域における日本共産党の顔、党組織の幹部――両面で全党の牽引車に

 第二の呼びかけは、地方議員、候補者のみなさんが、有権者に選ばれた地域における日本共産党の顔としての活動と、党組織の幹部としての活動の両面で、全党の牽引(けんいん)車としての役割を果たしてほしいということであります。

 地方議員のみなさんは、有権者に選ばれた地域における日本共産党の代表者として、住民の苦難軽減のために、議会の内外で日夜活動し、「困ったときは共産党」、「困った人々の命綱」として、全国二万二千の党支部と連携し、暮らしを守る草の根のかけがえのないネットワークをつくっています。

 私自身、全国各地にさまざまな要望や実態をうかがうために足を運ぶ機会がありますが、「派遣切り」で苦しんでいる労働者、「限界集落」――山あいの高齢者集落に取り残された人々、大不況の下でがんばっている町工場、突然の自然災害に苦しむ被災地の人々、米軍基地の耐え難い被害に苦しむ人々とお会いしたさい、全国どこに行っても、私を案内してくれたのは、住民と結びつき、住民の利益を守って献身的に奮闘する地方議員のみなさんでありました。その時に出会った地方議員のみなさんの一人ひとりのニコニコした顔が、それぞれ思い出されますが、この笑顔が住民の生きる支えになっているんだなと、どこでも感動で胸が熱くなる思いでありました。全国どこに行っても地方議員ががんばっている、ほんとうに国民にとってのかけがえない存在であります。

 そして、多くの地方議員のみなさんは、党の顔として、日本共産党の姿を住民に伝えるうえでもかけがえのない役割を果たしておられます。

 千葉県の県議団長の小松実同志は、一九八六年に立候補を決意してから今日までの二十四年間、毎週、月曜から金曜までの五日間の早朝、一時間の駅頭宣伝をおこなっていると聞きました。選挙区内の五つの駅でそれぞれ毎週一回宣伝し、一週間に顔を合わせることのできる人は区内の有権者の一割を超えるといいます。何年も続けていると知り合いもでき、ファンもできてくるのが何よりもの喜びだと聞きました。他の県議さんからは、はじめは「毎日の宣伝はやりすぎだ」という声もありましたが、いまでは四人の県議全員が週五回の早朝宣伝にとりくんでいるとのことでありました。

 もちろん地方議員の置かれている条件はさまざまですし、地方ごとの違いもあると思います。しかし、住民から見て一番近いところで、党の旗を掲げて日夜がんばっているのが地方議員のみなさんです。日常の生活で、近所を歩く場合にも、ただ歩いているわけにはいきませんでしょう(笑い)。ある議員からは、「緊張感を持ってニコニコと」をモットーに(笑い)、誰にでも必ずあいさつし、笑顔で住民と結びつく努力を重ねているとも聞きました。こういう努力を日常不断にやっているのがわが党の地方議員だと思います。

 住民の苦難軽減のために日夜奮闘し、日常的に党の旗を掲げてがんばっている地方議員の姿を見て、国民は日本共産党を体験するわけであります。参議院選挙にむけて、地方議員と候補者のみなさんの目が輝き、元気いっぱいの姿が見えれば、それはそのまま日本共産党の勢いとして有権者にドーンと伝わることになるわけです。みなさんがこれまで培(つちか)ってきた活動の蓄積を、新しい情勢の下で思い切って生かし、選挙勝利のために発展させることを、私は願ってやみません。

 地方議員のもう一つ重要な活動の側面として、党機関の幹部として「支部が主役」の活動を援助する重要な担い手としての活動があります。地区委員長の任務を兼任してがんばっている地方議員も全国で三十二人います。多くの地方議員のみなさんが、都道府県委員会、地区委員会、あるいは党支部で、重要な仕事を担っていると思います。

 地方議員としての仕事を果たしながら、党の幹部としての仕事をおこなう。両方の仕事をおこなうのは大変だと思いますが、地方議員をやっていることが、「支部が主役」の活動への援助をおこなううえで大きな力ともなるし、また支部への援助をおこなうことが、地方議員としての活動を発展させる力ともなる、ということもいえると思います。

 三月におこなった地区委員長研修会の会議で発言した大阪府・高槻・島本地区委員長の中村玲子同志は、高槻市議になって十五年、地区委員長になってまる六年だということです。話をあらためてうかがいますと、地区委員長と市議会議員を兼任しているのは苦労も大きいが、メリットも喜びもあるということでありました。市議会議員としての住民との対話、議会論戦などを通じて、地方政治の実態、住民の意識と変化がよくわかるので、その内容を支部に伝えると、支部が元気になり、援助に生かせる。医師会や農協を訪問、対話するさいにも、「市議会議員と地区委員長を兼任している」といいますと、注目され話題にもなる。他方、地区委員長として支部に援助に入りますと、党員の状況とともに住民の生活や要求がわかり、それが議会論戦にも役立つということでした。中村同志は地区委員長研修会でこのように発言しています。「地区委員会でも、常任委員会や市議団と協力しあいながら仕事をしていますが、いい点としては、市議団も文句がいえない。『拡大してほしい』などいろいろ言うと、『忙しい』とかいうでしょ。でも私以上に忙しい人はいませんので(笑い)、忙しいなかでもみんな協力的です」。

 地方議員のみなさんは、その地域での住民の苦しみや願いに日常的に接しています。議会のなかで、その地域での党派間のたたかいの最前線に立ち、要求実現のためにがんばっています。そうした力は支部と党員を援助するうえで大きな力となり、励ましともなることは間違いありません。

 地方議員と候補者のみなさんに心から訴えたい。日ごろから苦労されてとりくんでいる地域における日本共産党の顔としての活動と、党組織の幹部としての活動の両面の蓄積を生かして、参議院選挙勝利にむけた活動で、全党をひっぱる活動にどうかとりくんでいただきたい。ともにがんばろうではありませんか。(拍手)

党綱領実現という日本共産党員の初心にたって、歴史的選挙をたたかいぬこう

 第三の呼びかけは、党綱領の実現という日本共産党員の初心にたって、この選挙をたたかいぬこうということであります。

 いま、地方議員団の中核を担っているみなさんのなかには、一九七〇年代に「民主連合政府を実現するため」という決意で入党され、地方議員として活躍されている同志も少なくないと思います。空白議会に党の旗を立てるために家族で移住し、議員としてその地域に根をはって生き、住民要求実現のために奮闘し、信頼を広げ、今日に至っている同志もいます。経歴はさまざま、年齢もさまざまですが、それぞれに地域で住民の利益を守るとともに、国政を変革し、「国民が主人公」の民主的政権――民主連合政府をつくるという思いこそが、みなさんの入党の初心であり、目標であり、ロマンであり、大志であると思います。

 そして地方議員としての活動を通じても、自治体がかかえる住民の切実な問題解決に本当に責任を果たそうとすると、国政を変えることがどうしてもいま必要だということを痛切に感じておられると思います。

 たとえば、高すぎる国保料が、全国どこでも大問題です。今回の予算議会では、値上げの提案が各地でだされ、党議員の奮闘で、提出を断念させたり、修正させたり、部分的には値下げさせたりの成果も報告されていますが、激しいつばぜり合いが議会でたたかわれていると思います。この問題でも、高すぎる国保料の根本原因は、何といっても国保への国庫負担を半分に減らしてしまった国政にこそあるわけです。国政を変えることなしに、どの住民要求についても、問題の根本的解決はありえないわけです。

 大会決定は、綱領の実現、二十一世紀の早い時期に民主連合政府を樹立することをめざし、すべての都道府県、地区、支部が、中期的展望にたって「成長・発展目標」を明確にして、その実現のために系統的に奮闘することを決定しました。そして参議院選挙で勝利・躍進することを、その第一歩と位置づけました。

 「民主に失望、自民に戻りたくない」という流れが広がるなかで、「第三極」なるものを標榜する動きも起こっています。しかし、私たちがめざす目標は、「第三極」などではありません。「国民が主人公」の民主的政権の樹立にむけた国民多数派――日本政治の「第一の極」に成長することが私たちの目標であります。(拍手)

 いま、「過渡的な情勢」が新しい局面を迎えるなかで、私たちこそが国民多数派に成長することを予感させる萌芽が、日本のさまざまな分野で生まれ、広がりつつあるではありませんか。私は、そうした激動の渦中でたたかわれる参議院選挙で、全国の地方議員・候補者のみなさんが、党綱領実現という大志とロマン、初心にたって、心一つに大奮闘されることを、心から呼びかけるものであります。(拍手)

三、全党が参院選勝利をめざす臨戦態勢をすみやかに確立し、活動の飛躍を

 報告の最後に、全党の同志に訴えたい。

 いまただちに、参議院選挙勝利をめざす臨戦態勢を確立し、活動の飛躍にむけ、足を踏み出しましょう。

 やるべきことは明確です。

 ――草の根の宣伝力を総発揮し、党の勢いを示し、有権者の心に届く大量宣伝にとりくみましょう。党押し出しポスター、連名ポスターを、一刻を惜しんで一枚残らず張り出し、必要な増刷もおこなって、「ポスター第一党」になりましょう。朝夕の駅頭宣伝、門前宣伝、つじつじでのハンドマイク宣伝にとりくみ、他党を圧倒しようではありませんか。

 ――「有権者の過半数対話」に本格的に挑戦し、これと一体に、前回比三割増の読者拡大をめざして力をつくしましょう。

 「有権者の過半数対話」では、目標と期日を明確にしたとりくみが大切です。昨年の総選挙での対話の到達は、積み上げで二千百五十五万です。この突破を「有権者の過半数対話」の第一関門としていつまでにやりきるか。それぞれの都道府県、地区委員会、支部ごとに期日を決め、「第一関門」として必ずやりきり、さらに過半数対話にむかいましょう。

 全有権者を対象とした組織戦のなかで、「選挙型の党勢拡大」を追求し、読者でも、党員でも、大きな上げ潮の流れのなかで参議院選挙をたたかおうではありませんか。

 ――やるべきことをやりきる最大の保障は、全支部、全党員が、後援会員とともに、「支部が主役」で立ち上がることにあります。綱領と党大会決定を全党員に届け、徹底することに心血を注ぎましょう。週一回の支部会議の開催のために、あらゆる手だてをとりましょう。支部の臨戦態勢の要は、綱領と大会決定の徹底と、支部会議の定期開催にこそあります。そのために支部へのあらゆる親身な援助をおこなうことを呼びかけます。

 ――最後に、都道府県委員会と地区委員会は、非常勤の同志、地方議員の同志をはじめ、あらゆる潜在的な力を総結集し、参議院選挙をたたかう臨時の選挙態勢をすみやかにつくりあげましょう。支部への援助とともに、各分野の後援会への援助をつよめ、党と後援会の力を総合的に引き出すために、強力なイニシアチブを発揮しようではありませんか。

 この会議が、参議院選挙躍進にむけて、党支部と党員、党機関、そして地方議員・候補者のみなさんが一体となって、総決起する跳躍台となることを強く願い、私たち中央委員会もみなさんと心一つに、この歴史的たたかいで必ず勝利をつかむために、知恵と力をつくしてがんばりぬく決意を表明して、報告を終わります。(拍手)


志位委員長のまとめの発言

何としても勝利をかちとりたいという思いがみなぎった会議

 みなさん、ごくろうさまでした。討論のまとめをおこないます。

 会議では、十二人の地方議員・候補者と、五人の府県委員長の同志が発言しました。どの発言も、日常不断に住民要求の実現のためにたたかい、支部といっしょに党活動の前進を担い、そして報告を正面から受け止め、日ごろ培ってきた力を参議院選挙勝利のために生かして、何としても勝利をかちとりたいという思いがみなぎったものでした。

 この会議は、情勢の新たな進展をふまえた、たいへん適切な時期に開き、大きな成果をおさめたことが確認できると思います。

 発言されていない同志からもたくさんの感想が寄せられ、全国で視聴した方々からも感想が寄せられていますが、今日の会議を象徴するような感想を一つ紹介したいと思います。ある県議の同志です。

 「これまでで最高の決意を固めました。二十五歳で市議になって以来、三十六年目の議員生活となります。報告を受け、『これまでの活動のすべてを発揮して、総力をあげて参院選に勝利したい』という強い気持ちを持ち、決意を固めました。やりがいのある選挙。全力をつくしたい。四月四日から五十八回の街頭宣伝をしました。しかし、千葉県議団が週五回駅頭に立っていることを聞き、『まだまだだ』と思い、連日宣伝に挑戦したい」。

 全国から寄せられている感想も、「情勢が分かった」というだけでなく、これまでの活動への率直な自己分析もふくめて、勝利のために力をつくしたいという強い決意がのべられていることが特徴であります。

いま国民のなかに二重の大きな変化が起こっている

 私は、まとめの発言として、四点ほどのべたいと思います。

 第一は、討論のなかでも、いま起こっている情勢の劇的な変化が、ほんとうに生きいきと交流されたということであります。

 情勢の変化という場合、二重の変化が起こっているといえると思います。

 一つは、従来の自民党支持層とされてきた人々のなかに巨大な変化が音をたてて起こっている。このことは今日の発言でもこもごも紹介されました。

 たいへんに印象深かったのは、長いこと森林組合の職員を勤めてきて、党専従になるため辞めて「この敷居をまたぐことは二度とないだろう」と考えて職場を後にしたのだが、党候補者になって十二年ぶりに、森林組合との懇談でまたぐことになった(笑い)という発言でした。そのくらい、これまで党との交流がなかった方々とも、温かい交流が始まっている。従来の保守層といわれた団体、人々が劇的な変化のさなかにあります。

 いま一つの変化は、民主党に政治変革への期待をよせた方が、「期待を裏切られた」という非常に強い不信、さらに怒りを広げているということです。メディアなども最近では新政権への国民の不信と批判の広がりを伝えるわけですが、今日の討論を聞いて、国民のなかで広がっている怒りは、はるかに深いものだと痛感しました。

 民主党のポスターを張っているガソリンスタンドを訪問し、「ポスターを張らせてください」といったら、店主さんが「ああ、こんなもの張っているのは恥ずかしい」といって、民主党のポスターをはがして、日本共産党のポスターを張ってくれたという経験も報告されました。ポスターをはがすところに怒りの深さがあらわれていますね。

 対話も、「民主党政権をどう思いますか」と語りかけることから始めているという経験も語られました。そうしますと相手からいろいろな不信や批判がつぎつぎと出され、その思いをすくえるのは共産党だという話をすると、どんどん対話が広がり、「しんぶん赤旗」読者が広がっていくということが発言で紹介されました。

 こうして、いま二重の大きな変化が国民のなかで起こっているのです。私たちが打って出て、働きかければ、どんどん支持が広がる。まさに日本共産党の出番の情勢だということが、討論を通じても確認されたと思います。

「有権者の過半数対話」――やれるぞという展望が見えてきた

 二つ目は、私は報告のなかで、私たちの活動の幅を大きく広げて、全有権者を対象とした宣伝、組織、党勢拡大にとりくもうではないかと提案したわけですが、発言を聞きまして、「有権者の過半数対話」について、これはやれるぞという展望が見えてきたのではないでしょうか。

 すでにそれにとりくんでいるという経験が、地方議員、候補者のみなさんから、たくさん語られました。

 「軒並み訪問してポスターの張り出しをお願いする、そうすればそのときにどんどん対話が広がり、『しんぶん赤旗』読者も増える」。

 「一万人との対話の目標を決め、三千五百人まで到達した。支部の党員とともに、『集い』、駅頭宣伝など、あらゆる機会で対話を重ねている」。

 「コンビニにいって、缶コーヒーを飲みながら、来る人に声をかけ、出会うすべてが対象者でどんどん対話がすすむ」。

 「これまでなかなか対話ができなかったマンションにも、後援会ニュースを届け、読んでくれませんかと働きかけるなかで、対話が広がっている」。

 「署名と後援会ニュースと『しんぶん赤旗』の“三点セット”をもって四十軒を訪問したら、なんと三十八軒で署名に応じ後援会ニュースを読む約束をしてくれた」。

 「対話の中身として、『共産党の人と話したかった』という人がたくさんいる、共通して民主・自民への不信が語られ、暮らしの切実な要望があふれるようにだされることが特徴となっている」。

 こうした経験がつぎつぎと語られました。

 有権者との対話には、もはや壁はない。いくらでも広がります。ですからほんとうに私たちの側が壁をもうけないで、国民の中に飛び込んでゆけば、「有権者の過半数との対話」をやりぬく条件はある。これまでにない広大な規模での選挙戦を展開できる条件があるということが、今日の討論を通じて浮き彫りになったと思います。

選挙戦の方針の発展――有権者の思いにこたえた方針

 三点目は、報告で、選挙戦の方針の発展という問題を提起しましたが、この提起がきわめて積極的に受け止められているということです。

 すなわち報告では、「比例を軸に」、「全国は一つ」という方針、政党選択を選挙戦の中心にすえ、日本共産党そのものの支持の大波をつくりだすという方針を堅持しながら、同時に、選挙区選挙を攻勢的・積極的に位置づけ、比例と選挙区のたたかいを相乗的に発展させ、党躍進を勝ち取ろうという方針を提起したわけですが、これが発言でも、全国からの感想でも大歓迎されました。

 参議院の選挙区候補者のみなさんは、今日の会議はCS通信で視聴しているわけですが、大歓迎という心強い反応がどんどん返ってきています。

 「これまでも選挙区で勝利するとやってきましたが、報告で『議席獲得に挑戦する』と位置づけられて、“絶対にやるぞ”と決意を新たにしました」。

 「選挙方針の発展に、勇気づけられました。党は『第三極』ではなく『第一の極』をめざすのだという指摘はハッとさせられました」。

 「県の名前も出され、選挙の位置づけも高められ、ますますがんばらねばと決意を固めました」。

 「政治を変える展望を語るなかで、提起にこたえ定数二で勝利をめざします。『議席獲得に挑戦する』というところでは、一緒に視聴していた多くの支部員もうなずいていました。勝ちたいという気持ちのあらわれです」。

 このように全党の受け止めは、きわめて積極的であります。

 この問題では、何よりも、情勢の新しい進展が、選挙方針の発展を求めているということを強調したいと思います。

 昨年の総選挙のたたかいを思い出していただきたい。私たちは、全国の小選挙区で半分ぐらいの選挙区で候補者を擁立してたたかいました。擁立したところでは、有権者の側から「どうして立てるのか」という疑問も、結構出されましたでしょう。「力をあわせて自公政権を倒さなければならない時に、どうして候補者を立てるのか」という疑問も出されました。しかし、私たちは、自公政権への退場の審判の先頭に立つという立場を表明しながら、日本共産党を伸ばすということがどんなに大切か、そして選挙区でたたかうことの意味あいも大いに語って、あの選挙ではがんばりました。

 ところがいまは違いますでしょう。いまでは「全選挙区に立てるのはどうしてか」などという疑問はどこでも聞かれません。逆にいま立てなかったら、「どうして立てないのか」という批判を、わが党は受けることになるでしょう。

 「民主党に裏切られた、しかし自民党には二度と戻りたくない」。この流れが大きく広がっているわけです。この国民の気持ちを託せる政党は日本共産党しかありません。私たちが候補者を立てなかったら、国民は投票する先がなくなる。こういう情勢の大激変が起こっているわけですから、私たちが候補を立てたからには、「比例を軸に」を貫きながら、すべての選挙区で議席を争う構えでがんばるのは、当たり前の話なのです。

 このように、今日提起した方針は、有権者の思いにこたえた方針なのです。情勢の新しい変化のなかで、有権者が「民主も、自民もダメ」だと、「二大政党」にまるごと不信と批判を突きつけつつある。まさにその気持ちに、ぴったりとあった方針が、今日、提起した方針なのであります。だからこそ、全党からも、「これはいい」、「これでがんばろう」と受け止められているのだと思います。

 今日提起した選挙方針は、まさに情勢が求め、国民が求めている方針です。ぜひこれを意気高く実践し、党躍進の大波をおこしていこうではありませんか。

ただちに臨戦態勢を確立し、自らの力に自信をもって足を踏み出そう

 最後に、この会議を跳躍台に、ただちに足を踏み出そうということを重ねて訴えたいと思います。

 最後に発言した福岡の県委員長は、「県委員長として、党機関の役割が決定的と自覚している。臨戦態勢を確立し、参院選に全力をあげる。有権者の過半数の対話、前回時比三割増の読者拡大、全支部での党員拡大、選挙で勝つうえで必要なありとあらゆることをやりぬくうえで、党機関が全責任を果たす」という強い決意をきっぱりのべました。いま党機関、とりわけその長は、眦(まなじり)を決して、断固やりきる決意を持って、機関としての戦闘態勢をただちに確立し、選挙勝利のためにやるべきことを、全責任をもってやりきるという立場に立つ必要があります。

 そしてすべての支部・党員が戦闘態勢を確立するというのは、綱領と党大会決定をみんなのものにするということと、支部会議を開き定期化する、この二つが具体的中身になってきます。それをぜひともみんなで力をあわせてやりたいと思います。

 ただちに足を踏み出すというさいに、これも全国から反応が強かった点ですが、報告では、この四年間で、わが党が地方選挙で獲得した最高得票をすべて合計したら五百九十八万票になると報告しましたでしょう。これは全国からの感想でも「びっくりした」、「六百五十万の展望が見えてきた」という声がたいへん多いのです。ですから臨戦態勢をとって、みんなが立ち上がるというさいに、私たちの力に自信もって立ち上がる、党にはこれだけの力がある、とくに地方選挙で五百九十八万という得票を、現に日本共産党の公認候補が獲得しているという、それだけの力をもっている。そして日々、地方議員が支部と協力して、住民と結びつき、住民の苦難軽減のためにがんばり、党を強く大きくするために努力を重ねている。その蓄積があります。私たちの力に自信を持って、ただちにその力を選挙勝利の具体的な力としていきましょう。

 同志のみなさん。この会議を契機に、全党がすみやかに臨戦態勢をつくりあげて、必ず今度の参議院選挙で躍進をかちとろうではありませんか。以上をもって、討論のまとめの発言といたします。(拍手)





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