2010年4月14日(水)「しんぶん赤旗」
貧困ビジネス
日弁連シンポ 行政監督強化を
日本弁護士連合会は12日夜、東京都内で、生活困窮者を餌食にし、貧困から抜け出せなくする「貧困ビジネス」の問題点や被害救済について議論するシンポジウムを開き、200人余りが参加しました。
|
宇都宮健児会長は、「困窮と無知に付け込む悪質なビジネスを根絶するために、当事者や支援者と法律家の連携が重要です。このシンポジウムを、日本から貧困を根絶する一歩にしたい」とあいさつしました。
貧困問題に取り組む弁護士や支援者、当事者が、「派遣切り」などの雇用破壊と社会保障の後退を背景に、雇用と住居の不安定に「貧困ビジネス」が付け込む実態を報告しました。
NPO法人ほっとポットの藤田孝典代表理事は、生活困窮者をわずか2畳のスペースに押し込め、生活保護費をむしりとる「無料低額宿泊所」をとりあげ、「“家があるだけマシ”“ぜいたくを言うな”と人権侵害を許すべきではない」と強調しました。
家賃滞納を理由に賃貸住宅から強制退去を迫る悪質な「追い出し屋」問題について、増田尚弁護士は「居住権を保障する法規制が必要だ」と発言。追い出しに遭った当事者は、「『派遣切り』で失業し、貯金も尽きた。事業者から『今日にも出て行け』と言われ、無理やりサインさせられた」と体験を語りました。
船崎まみ弁護士は、トヨタの自動車部品工場に労働者を派遣する愛知県西三河地方の派遣会社が、4万円台で借り上げたアパートに5万8千円徴収して労働者を住まわせ、布団代3500円などを賃金から天引きし、「給料前借り」と称した高利貸しを行っていると告発。「悪質派遣会社の利得をはき出させるとともに、派遣法を改正する方向性を考える必要があります」と話しました。
日弁連貧困と人権に関する委員会の木村達也委員長は、「被害者は、貧困のために裁判による解決を待てず、事後救済が十分ではない。行政が積極的に監督すべきだ。被害実態を社会に突き付け、世論を形成することが必要だ」と訴えました。
湯浅誠・反貧困ネットワーク事務局長が講演しました。
■関連キーワード