2010年4月10日(土)「しんぶん赤旗」
沖縄密約 存在を認定
全文書の開示命じる
東京地裁 「知る権利を侵害」
1972年の沖縄返還費用を日本側が肩代わりしていたことを示す密約文書の不開示取り消しを求めた情報公開訴訟で、東京地裁(杉原則彦裁判長)は9日、政府が否定している「密約」の存在を認定しました。その上で、原告らが開示請求した文書を「不開示」とした外務省・財務省の決定は「違法」であるとし、全文書を開示するとともに、総額250万円の慰謝料支払いを命じる判決を下しました。
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原告らが開示を求めていた文書は、(1)米軍用地の原状回復費用400万ドルの負担を示す「吉野―スナイダー討議記録」(71年6月12日付)(2)米国への無利子預金などを示す「柏木―ジューリック覚書」(69年12月2日付)など外務省・財務省に関連する5点です。
これら文書はすでに米国で開示されていますが、外務省が3月9日に公表した「密約」調査では文書の存在を否定し、「密約」であるとの認定もしていません。財務省は「広義の密約」であるとしたものの、省内には保管されていなかったとの結論を出しています。
これに対して判決は、「柏木―ジューリック覚書」について、「国民に知らせないままにこれら(原状回復費や基地移転費用など)を負担することを合意していたこと(密約)を示すもの」と断定。「吉野―スナイダー討議記録」などについては、単なる「メモ」であるとの外務省の弁明に対して交渉責任者の吉野・スナイダー両氏が頭文字署名していたことを重視し、「最終的な合意文書でない…ということはできない」と反論しています。
また、外務・財務両省が文書を破棄した可能性を否定し、文書の行方について十分な調査を行っていないと指摘しています。
さらに、密約の存在を一貫して否定してきた外務省に対し、「国民の知る権利をないがしろにするもの」と厳しく批判しました。