2010年4月9日(金)「しんぶん赤旗」

学童保育の実施状況

自治体ごとに大きな格差が

国民生活センターが調査・提言


 「学童保育実施状況に大きな格差」「大規模・待機児童が深刻」―。独立行政法人国民生活センターの都道府県・市区町村調査で、こんな学童保育の実態が明らかになりました。同センターは結果をふまえ、どの自治体に住んでいても、安心・安全に学童保育が利用できるように、と「提言」を発表しました。

必要とするすべての子どもが利用できる対策が必要

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 調査は2009年8月〜11月に実施されました。

未実施自治体195区町村

 学童保育の実施状況(政令市・中核市除く)は、小学校数と同数以上が9都府県ある一方で、小学校数の80%未満が22道県で、うち4県は50%未満。未実施自治体が1区194町村(11%)と、大きな格差がありました。

 指導員の配置などに使われる運営費の都道府県補助は、53%が国の枠組みを上回る補助をしている一方で、11%が補助単価を切り下げていました。その結果、1施設あたりの補助額は51万円〜151万円と3倍もの差がありました(国の補助基準額は80・9万円)。

 こうした格差は、全体が低い水準にあるなかで生まれているのが特徴です。

 市区町村への調査では、国が解消を目指している71人以上の大規模施設は全都道府県の1500カ所、施設数の13%です。

 「大規模化や定員超過を理由に入所を断った」待機児童数は、市区町村把握分だけで約7500人。同センターは、さらに多くの潜在的待機児童の存在を指摘しています。たとえば学童保育を実施していない市区町村は「待機児ゼロ」と見なされます。しかし保育所利用実績をふまえれば、潜在的待機児は未実施自治体だけでも8千人になります。

市区町村に大きな負担

 運営費は、国の枠組みでは1施設で年間485万2千円が標準です。その半分を保護者が、国・県・市町村が6分の1ずつを補助(80・9万円。政令市・中核市は6分の2を負担)する計算です。

 しかし、国の基準が実態にあっていないため、とくに市区町村の負担が大きくなり、平均299万円。国の枠組みの3・7倍です。多くが午前中から勤務の正規地方公務員を配置している東京都区部は平均1184万円、運営費の85・5%を負担しています。

国と都道府県各々に提言が

 同センターは、こうした実態をふまえ、「学童保育を必要とするすべての子どもが、どこに住んでいても安全な生活の場として利用できる」ことをめざして提言しました。

 国には「実態とかけ離れた国の補助基準を見直し、補助対象を小規模施設などにも広げる」、都道府県には「国の補助基準を切り下げず、地域の実情に合わせた補助見直しで水準の向上をはかる」ことなどを提言。「待機児童対策・大規模施設の解消など、学童保育の質・量を拡充する」ことを求めています。

 提言はさらに、「必要とする子どもが利用できるように学童保育サービスの空白自治体を解消する」「第2種社会福祉事業の届出の徹底」「消費者へ情報提供を行い、利用に際して契約書等を交付する」「ケガ・事故情報を広く収集・活用する」「学童保育にも災害共済給付制度を適用する」などを求めています。

 詳細は『学童保育サービスの環境整備に関する調査研究―都道府県の取り組みに大きな格差』(A4判244ページ、定価1000円)。問い合わせは電話03(3443)1793同センター情報部へ。

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