2010年4月9日(金)「しんぶん赤旗」

裁判への圧力裏付け

砂川事件伊達判決 日米密談録を公表

元被告ら


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(写真)砂川事件の外務省開示文書

 基地拡張に抗議して旧米軍立川基地(東京都)に立ち入ったとして労働者・学生ら7人が起訴された「砂川事件」(1957年7月)の元被告らは8日、米軍駐留は違憲であるとして被告らを無罪とした東京地裁判決(伊達判決、59年3月30日)にかかわる日米政府間の会談録を公表しました。会談録は判決に衝撃を受けた日米両政府が、東京高裁を経ずに最高裁へ「直接提訴」する方向で検討していたことを示すものです。

 文書名は同年4月1日付「藤山大臣在京米大使会談録」で、藤山愛一郎外相とマッカーサー駐日米大使の会談記録です。元被告の坂田茂さん(80)、土屋源太郎さん(75)らが外務省に開示請求し、今年3月31日付で開示されました。

 同記録によると、藤山外相は冒頭、「最高裁に直接提訴するか否や検討中」と発言。東京地裁判決から2日後の4月1日の時点で、すでに「跳躍上告」による早期決着を具体的に検討していたことを示しています。

 さらに、最高裁は当時、3千件を超える案件を抱えていたとされていますが、藤山外相は、「最高裁でも(砂川事件を)優先的に扱う」との見通しを明らかにしています。

 結局、最高裁は59年12月16日に一審判決を破棄して東京地裁に差し戻しました。現行日米安保条約の署名(60年1月6日)のわずか3週間前にあたります。

 この問題では、国際問題研究者の新原昭治氏が2008年4月、「伊達判決」翌日の3月31日早朝、マッカーサー大使が藤山外相に、「砂川事件」の「跳躍上告」を要求し、同外相が「全面的に同意する」と述べて「今朝9時に開かれる閣議でこの上告を承認するようにする」と述べていたことを示す極秘公電を入手しています。

 土屋さんは、「米公文書館で膨大な文書が明らかになっている。伊達判決をめぐる外務省の会談録はこれだけではないはず」と指摘。今後、外務省や法務省などに関連文書の開示を引き続き請求する意向です。


 伊達判決 米軍駐留を違憲とした東京地裁判決。伊達秋雄裁判長の名を取って「伊達判決」と呼ばれます。判決は、在日米軍と自衛隊の指揮系統や米軍の日本防衛義務の有無にかかわらず、「日本国憲法9条2項で禁止されている陸海空軍その他の戦力の保持に該当する」として、米軍駐留は「憲法上その存在を許すべからざるものといわざるを得ない」と断定しています。





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