2010年4月6日(火)「しんぶん赤旗」
米核兵器 9割削減可能?
米空軍専門家が提案
「核抑止力論」が前提
【ワシントン=小林俊哉】オバマ米政権は今週、今後5〜10年間の核政策の基本となる「核態勢見直し」(NPR)を発表する予定です。発表を前に、“米国の核兵器は9割削減できる”とする米空軍の専門家の提案が、識者の間で話題となっています。
提案したのは、米空軍本部の戦略計画・政策部門の責任者であるチャンス・ザルツマン大佐らです。米空軍大学が刊行する「戦略研究クオータリー」の2010年春季号に論文を掲載。「核抑止力」を維持するためには、大陸間弾道ミサイル100発、潜水艦発射弾道ミサイル192発、重爆撃機19機で足りるとして、現在約5000とされる核兵器を311まで削減可能だと論じています。
同論文は、「核抑止力論」に固執している一方で、オバマ政権がロシア側と最終合意に達した新戦略兵器削減条約が、配備戦略核弾頭の上限を1550としていることと比較すれば、大幅な削減を提案しています。
当初2月に発表予定だったNPRの策定が大幅に遅れている背景には、核兵器の使用条件を狭く限定しようとするホワイトハウス側と、それに反対する国防総省側との意見対立があると報じられています。こうした中で米軍内部にも核兵器の大幅削減論が出ていることは、専門家の注意をひいています。
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