2010年4月6日(火)「しんぶん赤旗」

主張

後期高齢者医療制度

直ちに廃止し、被害を防げ


 「後期高齢者医療制度」をいますぐ廃止するよう求める集会が各地で開かれ、3日の東京・明治公園の集会では1万人を超す参加者が会場を埋め尽くしました。

 かつて民主党は後期高齢者医療制度を直ちに廃止し、まずは老人保健制度に戻すことを国民に約束しました。連立政権の合意も廃止を掲げています。ところが政権が発足すると、「新しい制度」をつくる2013年度まで廃止を先送りする方針に転換しました。

 政権が国民の期待を裏切る中で、高齢者に医療差別を強いる世界に例のない後期高齢者医療制度は実施から3年目に入りました。

「入山年齢」を引き下げ

 後期高齢者医療制度は国民を75歳で区切って、それまでの医療保険や扶養家族から引き離し、差別的な医療制度に送り込むという人間の尊厳をおかす制度です。歴代の厚生労働大臣や厚労省の官僚らは、この制度が医療費の抑制を目的にした制度であることを、あからさまに公言しています。

 命を守る健康保険制度を、命を縮める「うば捨て山」に変質させた後期高齢者医療制度は、続ければ続けるだけ被害を広げます。

 後期高齢者医療制度は2年ごとに保険料を値上げする仕組みです。鳩山政権は国庫補助を実施して新たな負担増を抑えると言っていました。しかし、実際にはこの国庫補助を実行せずに地方任せにしたため、多くの都道府県で保険料が引き上げられます。

 明らかになった新制度の厚労省“試案”も、国民の怒りを広げています。試案は75歳の区切りを65歳に引き下げて高齢者を国保に加入させ、現役世代とは「勘定を別に」(長妻昭厚労相)した制度として設計しています。

 後期高齢者医療制度の非人間性は、疾病の危険性が高い75歳以上を「別勘定」にして囲い込み、際限のない負担増とともに差別医療を押し付けるところにあります。その75歳の区切りを65歳に広げ、「うば捨て山」の「入山年齢」を前倒しするようなやり方を許すわけにはいきません。

 試案によると現役で働く被用者保険の本人も、子どもと同じ世帯で扶養家族になっている人も、65歳になったら脱退させられて国保に移されます。後期高齢者医療制度の理不尽な仕組みそのものであり、国民が厳しく批判してきたやり方です。

 長妻大臣は、その点は「論点」になっていて検討中だと説明していますが、もうすでに国民は「こんなやり方はやめよ」と審判を下しています。

 これでは、国民の被害とともに、制度の混乱もますます大きくなるだけです。

「公約守れ」の世論広げ

 鳩山政権は国民に対する公約を何重にも踏みにじっています。

 「後期高齢者医療制度はいったん廃止をする、そして老健制度に戻す」―。08年6月、民主党、日本共産党など当時の野党が提出した後期高齢者医療制度廃止法案の審議で、民主党は明確に答弁しています。

 昨年の衆院選では鳩山由紀夫首相も「お年寄りの尊厳を取り戻すためには廃止法案を可決するしかない」と街頭演説で訴えました。

 「公約を守れ」という世論をさらに広げ、後期高齢者医療制度を直ちに廃止させようではありませんか。





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