2010年4月6日(火)「しんぶん赤旗」

改正雇用保険法スタート

給付の延長急げ

加入しやすくなったけど…


 改正雇用保険法が、4月1日施行されました。失業した時に失業給付を受けられるなど公的なセーフティーネットである雇用保険に加入する要件が緩和される前進面があるものの、自公政権により相次ぐ改悪が行われた同制度を根本的に転換するためには、なお大きな課題を残しています。

 これまで、非正規労働者は、1週間の所定労働時間が20時間以上あり、6カ月以上の雇用が見込まれていなければ、雇用保険に加入できませんでした。法改正により、31日以上の雇用見込みがあれば加入できるようになり、新たに255万人の非正規労働者が加入対象になると見込まれています。

 また、事業主から雇用保険料を天引きされていたにもかかわらず、事業主の責任により保険の未加入となった人がさかのぼって適用されるのは、これまでは2年まででしたが、給与明細等の確認で2年を超えてもさかのぼって適用が可能となります。

 しかし、大きな課題が残っています。今回の改正は、保険の加入要件のみで、失業給付を受ける要件(離職前の2年間で12カ月以上、倒産・解雇の場合は離職前の1年間で6カ月以上の被保険者期間)は従来通りであることです。このため、保険に加入はできても、実際に失業しても手当を受け取れないという事態が生まれます。

 自公政権下で給付日数や給付水準の切り下げが行われ、「自己都合」による離職者に対しては給付日数を最高300日から180日に切り下げるなど、給付水準や受給資格に格差が導入されています。これらの改善は残されたままです。

 もともと日本では、失業手当を受給できない失業者の割合が77%にものぼっています(ILO=国際労働機関調べ)。厳しい受給要件のため、失業手当がもらえなかったり、失業手当の日数が短いためにすぐに切れてしまう人が多いためです。雇用情勢が悪化するもとで緊急にやるべきことは、現行法で90日の延長ができる「全国給付」の適用です。これは政治がやる気になればすぐにでもできることです。しかし、鳩山内閣は背を向けています。

 日本共産党は、やる気さえあればやれる「全国給付」の速やかな延長を求めるとともに、失業手当の給付期間の大幅な延長、給付水準の引き上げなど、制度を抜本的に拡充することを主張しています。(前野哲朗)





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