2010年4月4日(日)「しんぶん赤旗」
米で高まる入植活動批判
親イスラエル派からも
ユダヤ系市民の過半数
イスラエルによる入植地活動の継続は、中東和平推進を掲げるオバマ米政権にとって障害となっています。そうしたなか米国の“親イスラエル派”からも、イスラエルに対して公然と批判の声があがっています。 (ワシントン=小林俊哉)
イスラエルは、バイデン米副大統領が同国訪問中の3月9日、東エルサレムで1600戸の住宅を建設すると発表。エルサレム市当局はネタニヤフ首相とオバマ氏との会談(23日)直前に、同地での住宅20戸の建設を最終承認しています。
クリントン政権で駐イスラエル大使を2度務めたユダヤ系米国人のマーティン・インディク氏は3月21日放送の米CNNテレビの番組で、ネタニヤフ氏は米国を「手玉にとっている」と指摘。米外交専門家の主流派にいらだちが広がっていることをうかがわせました。
米国で強大な影響力をもつ親イスラエル・ロビー団体「米国イスラエル広報委員会」(AIPAC)は3月21〜24日、首都ワシントンで集会を開催。全米から7500人に及ぶ“活動家”が詰め掛け、米政府高官、民主・共和両党の議会指導者などがこぞって参加し、権勢を誇って見せました。
席上、クリントン米国務長官は「新住宅建設は、相互信頼を損ない、交渉を危機にさらす」と言明。ネタニヤフ氏が「エルサレムは入植地ではなく、われわれの首都だ」と公言して喝采(かっさい)を浴びたのとは好対照でした。
そうした状況を反映して主要メディアも二分。ワシントン・ポスト紙が「ネタニヤフ政権を攻撃して、和平プロセスはすすむのか」(16日付社説)とオバマ政権を批判すれば、ニューヨーク・タイムズ紙は「むしろ問題は、ネタニヤフ氏が本当に和平妥結に自国を導くだけの意志があるのかどうかだ」(27日付社説)と反論しています。
親イスラエル・ロビーもいまや一枚岩ではありません。
クリントン政権の政策顧問を務めたジェレミー・ベン・アミ氏がAIPACに対抗して2008年に結成した親イスラエル・ロビー団体「Jストリート」は、先のクリントン氏の演説を支持。「イスラエルは、米国との関係を損なうような過激な入植活動家を放置すべきではない」とする意見広告をニューヨーク・タイムズ紙に掲載しました。
同団体などが3月17〜19日に実施した世論調査では、ユダヤ系米国人の60%が、両国関係を損なったのはイスラエルによる東エルサレムの住宅建設計画発表だと回答。米国がイスラエルを批判するのは正しいと答えた人も55%にのぼっています。