2010年4月3日(土)「しんぶん赤旗」

イラン核問題 強まる圧力

湾岸諸国は慎重


 国連の安保理常任理事国とドイツが制裁決議案の検討を開始するなど、核開発を続けるイランに対する国際的圧力が強まる中、周辺の湾岸諸国は慎重な構えをみせています。(カイロ=松本眞志)


 「われわれはイランが核大国にならないことで(米国と)利害を共有しているが、経済制裁は容認しない。制裁を実行すればイランの核開発をむしろ促進することになる」

 3月10、11の両日、ゲーツ米国防長官がサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)を訪問した際、UAEのドバイに本拠を置く湾岸調査研究所のムスタファ・アラニ調査部長はこう語りました。

慎重な対応

 ゲーツ氏はサウジとの協議で、イラン制裁への支援とサウジの防空能力強化のための武器売却を焦点に話し合いました。米国は貿易や財政的手段でイランに圧力をかけ、同国の石油輸出停止によって国際エネルギー市場を崩壊させないために湾岸諸国の協力を必要としています。

 一方、サウジ側は米側の要請に慎重に対応し、公然と制裁支援を表明することを控えています。

 米国の核政策専門家のシャハラム・チュービン氏は湾岸諸国の真意について、「彼らはイランとは事を構えたくないのだ。なぜなら彼らは(イランとの)最前線にいるからだ」と語ります。

 湾岸諸国の石油施設や電力・水などの供給施設は、多くがイランとの直近の距離にあり、紛争が起きれば攻撃の対象となるおそれがあります。

影響を警戒

 湾岸諸国がイランを刺激したくない理由のもう一つは、アラブ世界でのイランの影響の広がりです。湾岸諸国住民はほとんどがイスラム教スンニ派教徒であるため、シーア派主体のイランが少数派のシーア派教徒住民を支援することを懸念しています。

 サウジはイエメン国境のシーア派民兵との紛争を抱えており、イランがこれらの民兵を支援していると非難しています。総選挙後のイラクでイランが影響力を行使しようとしていることにも警戒の目を向けています。

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