2010年4月2日(金)「しんぶん赤旗」
米バーモント州 上院
核兵器廃絶条約の交渉
大統領に促す決議
下院も近く採択
【ワシントン=西村央】米北東部のバーモント州議会上院はオバマ大統領に対する核兵器廃絶条約の交渉開始を求める決議を3月9日に採択、下院も4月早々にも同趣旨の決議を行う見込みです。5月にニューヨークで開かれる核不拡散条約(NPT)再検討会議を前に、核兵器保有国である米国の州レベルからの動きとして注目されます。
同州で核兵器廃絶の運動を続けている「バーモント・アクション・フォー・ピース」のジョゼフ・ガインザ氏(米フレンズ奉仕委員会同州事務所責任者)は「上院決議にあたっては、運動を続けてきた人々が議員に賛同を働きかけ、共同提案者が広がった」と語りました。
同氏は「下院での採択もまもなくだ」と言明。両院決議がそろった段階で、対人地雷全面禁止条約の成立に尽力し、1997年にノーベル平和賞を受賞した同州出身のジョディ・ウィリアムズさんも臨席して州議会での記者会見が予定されています。
上院決議は、「核兵器が文明と人類、生命そのものを脅かしつづけている」として、オバマ大統領が核兵器の世界的な廃絶に努力することを宣言し、同大統領はメドベージェフ・ロシア大統領と核兵器は廃絶しなければならないことで合意していると指摘。NPT再検討会議に出席するオバマ大統領に対して、検証可能な核兵器廃絶条約に向けて交渉開始を求めています。また上院議長に対し、この決議をオバマ大統領に送付するよう要請しています。
同州の平和運動団体は、NPT再検討会議が開かれるニューヨークには、大型バスを仕立てて学生を中心とした代表団を送り込み、世界各国の参加者とも交流する予定です。
同州では99年に33市町でのタウンミーティングで、すべての核保有国に核兵器廃絶に向けた条約を締結するよう求める決議を採択。この住民の意思を基礎に、州上下両院に「米政府に核兵器廃絶条約の交渉を即時すすめるよう求める」との決議を採択させた歴史があります。
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