2010年4月1日(木)「しんぶん赤旗」

ノーと言える英国に

米との「特別な関係」 もう限界
下院外交委報告 「世界は変化」


 【ロンドン=小玉純一】英下院外交委員会は3月28日、英米関係についての報告書を発表し、「英国は米国に常に服従する必要はない。両国の利害と価値が異なる問題では、いとわずノーと言う必要がある」と結論付けました。

60年以上前から

 報告書は両国関係の今後について「グローバル化や構造変化、地政学的(変化に伴う)勢力の交代によって影響を受け」、「英国ができない支援を米国に行うことが可能な国々との関係を米国が探求するのは当然だ」とし、英米関係の変化は避けられないとの見方を示しました。

 その上で、「構造変化に影響を与える点で英国が取りうる選択肢は限られている。構造変化が生んだ困難と機会の両方を踏まえた適切な外交戦略を確立する以外にない」と指摘しています。

 ゲイプス外交委員長は発表にあたり、「英国は自らの限界と国益について現実的な感覚を持ち、米国との関係に対し冷静な政治的アプローチをする必要がある」と述べました。

 報告書は英米関係を特徴付けてきたキーワード「特別な関係」を検討。この用語の使用について「常に進展する両国関係の全体を示すには誤解を招きかねず、避けるべきだ」と勧告しました。

 「特別な関係」は60年以上前にチャーチル英首相が使用。1980年代のサッチャー英首相とレーガン米大統領の関係、ブレア首相在任中の2003年にイラク戦争が強行された当時の英米関係などを表す用語として使われてきました。

評価と国益に傷

 報告書はイラク戦争に関し、「英国は米国の従順なプードル犬だ、という認識が英国民と海外に広がり、英国の評価と国益を深く傷つけた」と指摘しました。

 報告書は、国の財政赤字増大が「英国の将来の軍事態勢や、米国を支援する軍事的関与の維持能力」に与える影響に触れ、軍事力を維持する限界に言及。軍事関与の面で「英国の政治的影響力は、米国の政策決定過程において減少するだろう」と指摘しました。





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