2010年4月1日(木)「しんぶん赤旗」
米軍新基地 日本にいらない
徳之島 燃ゆ
米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の「移転」などの候補地として現実味を帯びてきた鹿児島県徳之島。これに断固反対する大規模な大会が3月28日に開かれました。「命を宝とする『子宝の島』、先人の知恵を尊ぶ『長寿の島』に、米軍基地はいりません」―住民の憤激が島を包みました。(竹原東吾)
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島民の約6人に1人、4200人が結集した郡民大会。「基地反対」と書かれた鉢巻きを帽子の上からキュッと締めていた女性(73)=徳之島町=は、「子や孫のため、10年後、30年後のために絶対に反対したい」。家族で参加した男子中学生(15)も「事件事故が起きるのは困ります」。
会場となった天城町総合運動公園グラウンドは、移設の狙われる徳之島空港のすぐ真横です。「米軍がくれば海岸も野も山も破壊され、島は消し去る」などと書かれたプラカードやパネルが林立しました。「56年前の(祖国)復帰運動で奄美が一つになった日の再来が、きょうだ」(大久保明・伊仙町長)など、「断固反対」の気勢をあげました。
環境
「静かな環境で子育てをしたかった」と関東地方から6年前に徳之島に移住してきた女性(44)=農業=は話します。「こんな小さな島に基地が来るのは考えただけで怖い。壊れた環境は元には戻りません。美しい島を子どもたちに残してあげたい」
伊仙町の農家の男性(68)は「沖縄が騒音や暴行、墜落に苦しんでいるのに、徳之島に基地が来て、それがなくなると思いますか。米軍基地そのものが日本にいらない」と語ります。
徳之島は面積約247平方キロメートルで、人口は約2万6000人。産業の中心は農業でサトウキビが基幹作物です。地元3町の町民所得は140万円から190万円ほどで、県民所得の6割から8割。このため一部からは、基地振興策による経済活性化を求める声もでています。
大会で決議されたスローガンがこれを一蹴(いっしゅう)します。「私たちは農業を中心とした観光振興を目指す、そのために振興策に名を借りた環境破壊を許さない」
発信
JAあまみ天城事業本部のある男性職員(37)は「基地ができれば、離農者も増えて島の価値がなくなる」と懸念します。「基地が振興につながるという意見が理解できない。なぜ沖縄が『いらない』といっているのかを考える必要がある」と厳しい口調です。
「子どもたちが犠牲になる米軍基地は日本のどこにもいらない」。4200人を前に、声を震わせて発言した女性(39)は、元保育士です。中1と小4の男の子の子育て真っ最中。「私が壇上に立つことで、徳之島のお母さんたちが反対の声をあげるきっかけになれば」と願います。
基地「移設」が浮上するまで、少女暴行など米兵による事件・事故が多発する沖縄の現状を、「わがこととしてとらえていませんでした。同じ南西諸島に住んでいながら、恥ずかしい」と悔やみます。
「子どもたちを何としても守り抜きたい。基地はいりません。米国に帰ってもらうまで頑張りたい」