2010年3月29日(月)「しんぶん赤旗」
アラブ首脳会議 イスラエルに批判集中
占領政策 平和に逆行 連盟事務局長
入植拡大に深く失望 国連総長
【シルト(リビア)=松本眞志】第22回アラブ連盟首脳会議が27日、リビアの地中海沿岸都市シルトで開催されました。会議では、ユダヤ人入植地拡大を含むイスラエルのネタニヤフ政権がすすめる不法行為に批判が集中。パレスチナ国家実現と占領地からのイスラエルの全面撤退、難民の帰還権保障を柱とする中東包括和平構想(アラブ和平案)に改めて注目が集まりました。
包括和平構想に注目
パレスチナ自治政府のアッバス議長は、アラブ和平案実現のためには東エルサレムを含むヨルダン川西岸での入植地拡大の凍結(停止)が不可欠だとし、国際社会に東エルサレムのイスラエルの不法行為を監視する調査団の派遣を要請しました。
アラブ連盟のムーサ事務局長は、アラブ世界がトルコやイラン、アフリカなど近隣諸国との平和交流をすすめるなか、唯一イスラエルが核保有政策の堅持やパレスチナ占領政策の継続によって域内の平和の流れに逆行してきたと非難しました。
同時に、オバマ米政権の入植地拡大批判を例に、イスラエルの不法行為を拒否して「アラブ和平案」を受け入れる国際的な世論が形成されつつあるとも述べました。
会議に出席した国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は入植地拡大計画に「深く失望した」と語り、アラブ和平案ついて「同じ目標実現に向けて(国連として)強く関与していく」と宣言。この問題でのアラブ連盟との連帯を表明しました。
潘氏はまた、イスラエルのガザ地区封鎖問題に言及し、封鎖解除が域内での国連の活動の「最優先課題」だと強調しました。
来賓として出席したトルコのエルドアン首相は、「エルサレムはイスラエルの首都」とのイスラエル指導部の主張を拒否すると表明、トルコはパレスチナを含む域内アラブ諸国の問題を共有する立場にあると発言しました。
エルドアン氏はパレスチナ分裂が問題の解決を困難にしているとの認識に立ち、イスラム武装抵抗組織ハマスとパレスチナ解放機構主流派ファタハの和解を呼びかけました。
アラブ和平案 2002年のアラブ連盟首脳会議がサウジアラビアの提起を受けて採択、07年の同連盟首脳会議が改めて確認した中東包括和平案。(1)イスラエルの占領地からの全面撤退(2)東エルサレムを首都とし、ヨルダン川西岸とガザ地区を領土とするパレスチナ国家の樹立(3)パレスチナ難民の帰還権―をイスラエルが承認することを条件に、アラブ諸国がイスラエルとの関係を正常化するという内容。