2010年3月28日(日)「しんぶん赤旗」
NPT会議へ弾み
米ロの新核軍縮条約合意
批准に、米国内でなお曲折
世界の核兵器の95%を保有する米ロの大統領が26日、新たな戦略核兵器削減条約の内容で最終合意したことは、4月にオバマ米大統領が招集する核安全保障サミットと、今年5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議の論議に、大きな弾みをもたらすものと期待されます。
いずれの会議でも中心課題は核不拡散問題ですが、二大核兵器保有国の実際の削減努力が会議成功への機運を高めることは間違いありません。
とりわけ5月のNPT再検討会議では、すでに議題案に、「核兵器の全面廃絶に対する核兵器保有国の明確な約束」をうたった2000年の再検討会議合意文書を踏まえたNPTの運用見直しを含むことがすでに合意されています。
オバマ大統領が昨年4月のチェコ・プラハでの演説で「核兵器のない世界」を国家目標とすることを表明してからほぼ1年。以来、「核兵器は人類とは共存できない」として、その廃絶を願う世界の世論を背景に、核兵器廃絶は国際政治のひとつの焦点課題に浮上してきました。
オバマ大統領は26日、ロシアのメドベージェフ大統領との合意後の記者会見で、「子どもたちのための安全な未来を築くために、20世紀の遺産に引きずられない新たな一歩をしるした」と述べました。
新条約をめぐって米国では、当面、3分の2の合意を必要とする上院での批准という、曲折が予想される課題があります。
国内には依然、核兵器保有に固執する議論が根強くあるなか、新条約の批准にこぎつけ、さらに「核なき世界」の実現に向かってどう進むのか。オバマ政権が試されるのはこれからです。
(ワシントン=西村央)
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