2010年3月26日(金)「しんぶん赤旗」
米ロ新核軍縮条約合意へ
両首脳 近日中に電話会談
NPT再検討会議へ 機運高まる
【ワシントン=小林俊哉】昨年12月に失効した米ロ間の第1次戦略兵器削減条約(START1)の後継条約の合意が間近になりました。現存する核兵器のうち95%を保有する両国間の新核軍縮条約締結は「核兵器のない世界」をめざす国際的潮流の前進となるものです。
ギブズ米大統領報道官は24日の記者会見で、近日中の両国首脳間の電話会談で交渉妥結に至るとの見通しを表明。調印場所については、オバマ氏が昨年4月「核なき世界」構想について演説した「プラハになるだろう」と述べました。米メディアは調印は4月8日と伝えています。
新条約は、戦略核弾頭を1500〜1675発に、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、戦略爆撃機からなる運搬手段(SNVD)を700〜800基・機にまで削減することが柱です。新しい査察検証措置についても合意します。
1994年12月に発効したSTART1は(1)戦略核弾頭を6000発以下(2)運搬手段を1600基・機以下と規定。2001年12月に両国とも完全履行を発表しています。
その後、03年6月に発効した戦略攻撃兵器削減条約(モスクワ条約)では、戦略核弾頭数を1700〜2200まで削減することで合意。しかし、運搬手段の上限や検証措置については定めませんでした。
米ロ両国首脳は昨年4月、オバマ氏が提唱した「核なき世界」を目指すことで合意。その具体化として、後継条約の交渉促進を約束していました。
新たな合意で、4月の核安全保障サミット、5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向け、NPT第6条がうたう「核保有国の誠実な核軍縮交渉義務」の履行にむけた機運が高まるとの期待は、米ロ双方から出ています。
調印後は、両国での批准手続きが待ち構えています。米側は批准に上院の3分の2以上の賛成が必要となります。
米ブルッキングス研究所のスティーブ・パイファー元駐ウクライナ米大使らは、今年1月にまとめた報告書で、調印後、他の核保有国にも削減努力を促すため、一層の核軍縮をめざす交渉を米ロ間で速やかに開始するよう提案しています。
■関連キーワード