2010年3月26日(金)「しんぶん赤旗」
主張
普天間「移設」
沖縄も本土も基地は要らない
沖縄県宜野湾市の米軍普天間基地について、政府が沖縄県内や九州など本土への「移設」を検討していることにたいし、沖縄でも本土でも反対の声が広がっています。各地で抗議の宣伝や署名がおこなわれ、地域ぐるみ、住民ぐるみの集会も相次いでいます。
住民に騒音などの被害をもたらし、日本の平和を守るどころか安全を脅かす、外国の「殴り込み部隊」の基地に、県民・国民が苦しめられ続けるいわれはありません。沖縄でも本土でも心をひとつに、「移設」に反対し、普天間基地の無条件撤去を迫るときです。
民意「大事にする」なら
政府が3月末を目指して大詰めの調整をしている「移設」先は、沖縄県の米軍キャンプ・シュワブ(名護市)の陸上案やホワイト・ビーチ(うるま市)の沖合案、さらに鹿児島県・徳之島などといわれます。「移設」先は公表せず、水面下で交渉を進める方針です。
その一方、アメリカ側は、自公政権が同意した名護市辺野古沿岸部での新基地建設を「最善」とし、「移設」できない場合の普天間基地の強化も持ち出しています。
住宅密集地のど真ん中にある普天間基地の撤去は住民の長年の願いです。同時に、「移設」先として名前がでたところでは、沖縄も本土も受け入れに反対です。とくに沖縄では、「県民をおもちゃか何かのようにもてあそぶのはいい加減にしてほしい」(地元紙社説)などと、怒りの声がいっぱいです。
沖縄県民の「移設」反対・基地撤去の意思は明確です。1月の名護市長選で当選した稲嶺進市長をはじめ普天間基地のある宜野湾市の伊波洋一市長など、自治体首長の多くが反対を表明しています。県議会、名護市議会、那覇市議会、うるま市議会などの市町村議会も反対の意見書を可決し、4月には超党派で県民集会を開きます。
鳩山由紀夫首相は、「県内移設を断念せよ」という日本共産党の仁比そうへい参院議員の追及に、「県民の民意は大事にしたい」と答弁しました(23日、参院予算委)。にもかかわらず「県内たらい回し」に固執するのは強権的な裏切りといわれても仕方がありません。
鳩山首相や岡田克也外相は、基地の「移設」を押し付けてまで、県民・国民が望まない米軍への基地提供を続けるのは、「日米同盟と核を含む抑止力のため」(首相)だとか、「安保廃棄とは前提が違う」(外相)からといいます。しかし、国民の意思に反して外国の軍隊に基地を提供し続けるというのは、異常な対米従属そのものです。
普天間基地に駐留する米海兵隊は、世界中に出かけてアメリカの侵略のためにたたかう「殴り込み部隊」で、日本を守るのが任務ではありません。日本を守る「抑止力」というのは欺まんであり、基地を置く理由はありません。
無条件撤去の交渉を
もともと普天間基地は、米軍が太平洋戦争末期に沖縄を占領した際、住民を収容所に囲い込み、土地を奪って建設したものです。戦争が終わればただちに県民に返すべき基地を強奪し続けていることはどういっても正当化できません。
そのうえ普天間を撤去するなら新たな基地をというのは居直り強盗そのものです。県民・国民が「移設」に反対するのは当然であり、政府は「移設」先探しをやめ、無条件撤去を米と交渉すべきです。