2010年3月26日(金)「しんぶん赤旗」
日本の温室ガス 44社が半分排出
07年度は9%増 前年度比
自主計画任せ 削減に逆行
気候ネット分析
2007年度に日本国内で排出された温室効果ガスの総量の5割が、電力・鉄鋼など44社から排出されていたことが25日、気候ネットワーク(浅岡美恵代表)の分析で分かりました。44社は前年度より9%も排出量を増加させており、大量排出企業の自主計画まかせの対策では、排出削減が進まないどころか、逆行する事態であることが浮き彫りになりました。
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この結果は、環境省の07年度温室効果ガス排出量公表制度の開示データ(訂正版)を、気候ネットワークが分析して公表したものです。
それによると、日本全体の07年度の温室効果ガス排出量(確定値)は約13億7400万トン。先進国に排出削減を義務付けた京都議定書の基準年(1990年)より9・3%増となりました。
排出量の報告が義務付けられている約1万5000事業所のうち、電力88事業所(大規模火力発電所)が直接排出量全体の30・3%、鉄鋼など73事業所が同19・7%を占め、あわせると大規模な発電所や工場など161事業所で直接排出量全体の半分に達しました。200事業所が5割を占めた06年度よりも、大量排出の集中が進んでいることが分かりました。
また、企業別に集計したところ、電力20社(電力会社や地域の共同火力発電所など)、鉄鋼7社など計44社だけで排出量全体の50%を占め、電力・鉄鋼27社だけで42%にのぼりました。
分析した気候ネットワークの浅岡代表は「排出増の主因は石炭火力発電所からの排出増にある」として、「1位の事業所と、事業所数の3分の2に相当する9700事業所の総排出量がほぼ等しく、極端な排出集中度を示している」と指摘。「今回の分析結果は、排出上限枠付きのキャップアンドトレード型で国内排出量取引の制度設計を検討するために有益な情報だ」としています。
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