2010年3月24日(水)「しんぶん赤旗」
在沖米海兵隊の移転問題
グアムで怒り高まる
米紙報道 地元に事前相談なし
【ワシントン=小林俊哉】米有力紙ワシントン・ポストは22日付で、在沖縄米海兵隊のグアム移転をめぐり、「基地計画に地元グアムで怒り」と大きく報道しました。普天間基地「移設」問題で、2006年の日米合意案が最善とする米側ですが、米国でも反基地世論が高まっています。
同紙は、米政府内でも、米環境保護局(EPA)が、基地建設計画を「環境面から不十分」と結論づけたことを指摘。環境保護局は大統領の直属機関だけに「非常に異例」としています。
また、沖縄で反基地世論が高まる一方、グアムでも地元に事前の相談がなかったことを批判する声が出ている状況を紹介。「古い植民地主義だ」と批判する地元識者の声を伝えています。グアムのカマチョ知事は、米軍に対し、移転計画の延期を求めています。
それでも現行案を推進する理由について、米側からまともな説明は聞かれません。米国防総省のドロシー・ロビン国防副次官(基地施設、環境担当)は、米下院で開かれた公聴会(19日)で、「(グアム移転費総額の)100億ドルのうち、60%は日本政府が出す。日本政府に金を出し続けるよう求めるためにも、米側の予算計上が必要だ」などと述べています。
2011会計年度予算案には、4億5200万ドルのグアム移転関連経費が計上されています。ロビン氏は、新基地建設のみならず、グアムのインフラ整備にも日本の金が使われると強調。地元が反対する計画でも日本がカネを出すから続けるという主張です。
ロバート・ヘール国防次官(財務担当)も同じ席で、米側が予算を渋れば、日本が米側の姿勢を疑うとして、「日本に誤ったメッセージを送らないために、予算が必要だ」と述べました。
在沖米海兵隊グアム移転計画 在沖縄米軍のうち、キャンプ・コートニー(うるま市)の第3海兵遠征軍司令部を中心に、海兵隊員8000人とその家族9000人をグアムに移転する計画。司令部機能が主な移転対象ですが、戦闘部隊は沖縄に残留。2006年5月に日米両政府が、キャンプ・シュワブ(名護市)沿岸部への新基地建設と合わせて合意。移転経費約100億ドルの6割以上を日本側が負担。うち28億ドルは直接資金提供。