2010年3月23日(火)「しんぶん赤旗」
“外資規制は選択肢の一つ”
IMF報告書に注目
金融取引税も言及
世界的な金融・経済危機に対処して各国がとった超金融緩和措置によって、金融市場がまたしても投機化しています。これに対し新自由主義を世界に押し付けてきた国際通貨基金(IMF)が、資本規制の必要性を認める報告書をまとめ、注目されています。(金子豊弘)
新興国市場の一部で、外国資本の流入が急激にすすんでいます。2月に公表されたIMFの報告書では、「巨額の資本流入は、為替相場の行き過ぎ、すなわち通貨の高騰が経済運営を著しく悪化させることや資産バブルを膨れ上がらせる」と指摘。さらに「金融の脆弱(ぜいじゃく)性を増幅し、経済危機を高める」と警戒感を示しました。その上でIMFは、資本流入の急増による経済・金融へのマイナスの影響に政府が対処するさいの外国資本への規制は「選択肢の一つ」になりうるとしました。
具体的な規制の方法としては、外貨準備の積み増し、財政・金融政策の変更などのほかに、資本流入そのものへの規制を挙げています。
報告書は国際的な金融取引に課税し国際的な投機をする金融取引税についても言及。「金融取引税は、短期の取引にとって、比較的費用がかさみ資本流入を阻止できよう」としています。
金融取引税については欧州議会が3月10日、「金融取引税を機能させる」とする決議を採択しました。金融市場の安定化のために金融取引税がどのように貢献できるのか、また、有害な取引に的を絞ることによって金融危機を防止することができるのか、評価するよう欧州委員会に求めています。同決議は同時に、銀行システムが実体経済に資金を提供する能力を確保することの重要性を強調しています。
米国を訪問したギリシャのパパンドレウ首相は同国の財政危機を利用した投機資金の動きに関連して、「規制を受けていないグローバル経済に対して、人々の利益になる規制やルールの必要性が明らかになった」とし、投機資金への規制の必要性を強調しました。同首相は、6月下旬にカナダで開かれる20カ国・地域(G20)で、投機規制についての議論が行われる見通しを示しました。