2010年3月22日(月)「しんぶん赤旗」
列島だより
安心給食 子どもに
学校給食を民間委託する動きが強まるなか、「子どもたちに安全で安心な学校給食を提供したい」という努力が各地で進められています。高知県南国市の福田佐和子議員、滋賀県湖南市の松井けい子議員のリポートです。
地元棚田米と食材で
高知・南国市 福田佐和子市議
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高知県南国市の学校給食は、1997年から棚田米を使った自校炊飯と地産地消で行われています。成長期のこどもに地域で収穫された新鮮な食材、特に棚田米を使った学校給食をとの取り組みは農家や教育委員会、市農林課、農業委員会、JA南国市、保護者を巻き込んで実現されました。
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機械の導入が困難で、高齢化も進む中山間地の米作りは、平地に比べて収穫時期が遅く、価格も抑えられがちです。この中山間地の米作り、棚田米を応援しようという農業委員会の提起で、棚田米が学校給食に積極的に取り入れられました。棚田を持つ中山間地の農家の皆さんに喜びと意欲を与え、大きな励みになりました。
作った人の顔を見ながら食べる給食は、食べ残しがなくなりました。
大切な農業の振興と食の安全が一つになった南国市ならではの取り組みです。全国的にも高い評価を受けました。全国農協中央会などが主催の「食の架け橋賞」では最優秀賞に選ばれ、年間を通して全国から視察に来ていただいています。
とはいえ当初はいくつかの課題がありました。大きかったのは自主流通米と学校給食会の存在でした。
南国市は年に2回お米が取れる穀倉地帯でありながら、こどもたちが食べていた給食米は学校給食会を通じて安い政府米を高く買っていることがわかりました。
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日本共産党の土居篤男、浜田勉両市議(2人とも農業委員)が農業委員会でも主張し、自主流通米の問題解決のための原動力となりました。農業委員会は関係者に働きかけ、県学校給食会や食糧事務所との調整に大きな役割を果たしています。
教育委員会は大変な苦労の中で学校給食会という壁を乗り越え、市農林課も米価の差額を負担するなどそれぞれの分野が力を合わせて実現することができました。
食材は「地産地消」を基本に校区内の八百屋さん、直販市、農家との契約で仕入れています(時期的にないものは県内産)。大豆から育て、地元の農業高校で作ったミソやお茶、こどもたちが考えたデザート作り、田植えや稲刈りなど地域の人たちや高校生と一緒に体験しながら、こどもたちの学校給食は発展してきました。
2005年9月には食育のまちづくり宣言、同年12月には食育のまちづくり条例を全会一致で採択しています。
財政困難、少子化はどこも同じ。だからこそ、こどもたちのおいしい笑顔を守りたいと私たちは改めて決意をしています。
自校方式 守り広げて
滋賀・湖南市 松井けい子市議
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湖南市は滋賀県の東南部に位置し、2004年に石部町と甲西町が合併して誕生しました。私はここで、子どもを持つ母親の立場から、議会ごとに学校給食問題を取り上げてきました。
旧石部町は1958年から小学校で自校給食を開始しました。給食は子どもたちからも喜ばれ、「中学校でもぜひ」と強い願いと保護者らの運動が実って、17年前に中学校でも自校給食が実現しました。中学校には全生徒が一堂に集まれるランチルームがあります。ここの給食で育った生徒が保護者になっています。
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市はいま、自校方式でおこなわれている旧石部2校の小学校の学校給食を、旧甲西のセンター方式に統合しようとしています。私の質問に対して市は、自校方式給食の良さは認めるものの、維持管理費、人件費など経費面でのコスト高を理由に給食センターに移行したいといいます。
現在の給食センターを新たに用地買収して建て替える計画ですが、その費用は膨大なものになることが予想されます。
市が財政難に直面し、今後も税収減が予想されます。私は子どもたちの健やかな成長のためにも、センター化ではなく、自校方式の施設を市内の各学校に建設していくほうが必要ではないか。両方の建設費を積算するようにと提起しましたが、市は積算を拒否しました。
2年半前、旧石部の自校方式の調理業務を民間委託する計画が浮上したとき、保護者から、自校給食がなくなることに強い抵抗と反対の声が上がりました。
日本共産党の田中文子市議(当時)が、議会で民間委託計画を取り上げました。市が食材を提供し、市の施設で県の栄養士が業者に指揮・命令する行為は「偽装請負」に該当するという労働局の見解を指摘。市は断念せざるをえませんでした。
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自校方式の給食の良さは、なんといってもできたてでおいしいことです。また教育の一環として、食育の充実、調理員さんにたいする感謝の気持ちや思いやりの心が育ちます。アレルギーを持つ子どもたちに対しても、きめ細かい対処や個々の学校行事に合わせることができます。
先日も保守系の議員さんのところにアレルギーを持つ子どもの親から「旧甲西でも自校方式にできないものか」と問い合わせがあったと聞きました。
子どもたちの健やかな成長・発達を保障する「より豊かな学校給食の充実」のために私は今後も保護者や市民の皆さんとともに、自校方式の学校給食を守り、全市に広げる運動に力を入れていきたいと思っています。
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