2010年3月18日(木)「しんぶん赤旗」
事前面接解禁を削除
派遣法改定 「抜け穴」残し政府合意
政府は17日、与党党首クラスによる基本政策閣僚委員会を開き、今国会に提出予定の労働者派遣法改定案のうち、改悪点として強い批判があった「事前面接の解禁」を削除することで合意しました。これを受けて今週中にも閣議決定する予定です。
「事前面接」は、派遣先企業が派遣労働者を受け入れるさい、前もって面接するもの。労働者派遣は、労働者を雇っている派遣元がだれをどこに派遣するかを決めるのが原則で、雇用関係をもたない派遣先が採用に関与するのは制度の根本をこわすものです。しかし、これが公然と横行したために1999年の法改定で禁止する措置がとられました。
財界の強い要求をうけて、2008年に自公前政権が解禁する改定案を出し、鳩山新政権の改定案に引き継がれていました。
今回の政府・与党合意は、社民党の福島瑞穂党首らが政府の改定案の多くの問題点のうち「事前面接」問題に修正要求をしぼったために妥協が成立したものです。
政府の改定案は、登録型派遣や製造業派遣の「原則禁止」をいいながら、例外を設けて、「専門26業務」や派遣元に常用雇用(常用型)されている労働者の派遣を容認する大きな「抜け穴」をつくっていることが問題になっています。違法派遣の場合の派遣先への直接雇用「みなし」規定など実効性が疑われている問題も多いうえに、施行時期を3〜5年も先送りするなど、財界の要求に屈服したといわれるような重大な問題をかかえています。
この問題で日本共産党は「派遣から正規雇用への道を開き、派遣労働者を守る改正に」という修正提案を発表しており、全労連など労働組合、日弁連など法律家団体が政府案は「使い捨て労働」の改善にほど遠い内容だ、と修正要求を出しています。