2010年3月17日(水)「しんぶん赤旗」
2000万円約束が3000万円振り込み→還流1000万円
大手ゼネコン裏金づくり
下請け業者 手口語る
政治家資金提供の原資か
民主党の小沢一郎幹事長へのゼネコンからのヤミ献金疑惑が問題になっています。こうしたヤミ献金の原資は、どのようにつくられるのか―。複数の建設業者が大手ゼネコンの不透明な金づくりの手法を本紙に証言しました。(矢野昌弘)
「私が裏金づくりにかかわったのは20年ほど前から、総額2億4000万円にのぼる」と話すのは、千葉県内で建設業を営んでいた男性Aさん。Aさんは、日本有数の大手ゼネコンB社の公共工事を中心に下請けを長く請け負ってきました。
B社が主導で行っていた資金づくりの手法は「割り戻し」「スポンサーメリット(略称SM)」と関係者の間で呼ばれていました。こうした手法は、B社が受注比率のもっとも高い「親」となった共同企業体(JV)工事で行われました。
その手口は―。
SMの相談は、月1回開く災害防止協議会の後に行われました。工事事務所にAさんは1人残され、B社の現場次席から持ちかけられたといいます。
次席は「下請け代金1000万円を上乗せするから、600万円は返してくれ」などと指示してきました。Aさんはその後、振り込まれた工事代金のうち、指定された現金を次席に持っていきました。
赤字をかぶった
国民の税金が注ぎこまれた公共工事が、政治家らに税金を還流する裏金づくりの舞台となったわけです。
Aさんはキックバック(割り戻し)に13回ほど協力。当初、SMは利益幅の大きい工事でしか行われなかったといいます。しかし近年は下請け業者には利益がほとんどない工事でもSMを求められ、Aさんの会社は赤字をかぶったといいます。
千葉県内の別の建設会社元社員の男性Dさんも同じような経験があります。
Dさんの会社は、中堅ゼネコンなど3社のJVでつくるJR発注工事の1次下請けとなりました。DさんはJVの工事事務所に出向し、現場監督に。工事事務所で、JV担当者が作成した毎月の出来高調書に目を通す業務にもかかわりました。
パー券を購入も
Dさんは「出向元の会社の今月の出来高が2000万円ぐらいなのに、2500万円と多めに出されていた」と証言します。
多すぎる出来高を指摘すると、工事所長は「いいんだ。後でこちらに戻すから」と説明したといい、Dさんの会社社長と合意した上での話であることをほのめかしたといいます。
Dさんは「こうしたお金の還流が当時は当たり前のように思っていた。工事事務所には政治家のパーティー券が持ち込まれてくるので、そうした購入にもあてられる資金だと思った」と話します。
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