2010年3月17日(水)「しんぶん赤旗」

子ども手当法案に対する

高橋議員の賛成討論

衆院本会議


 日本共産党の高橋ちづ子議員が16日の衆院本会議で行った子ども手当法案に対する賛成討論は次の通りです。


写真

(写真)子ども手当法案にたいして賛成討論する高橋ちづ子議員=16日、衆院本会議

 今日、子育て世帯の多くは所得が低く、政府の調査によっても、経済支援を求める声が7割にも達しています。とりわけ、子どもの7人に1人が貧困であり、日本は所得の再分配によって逆に貧困率が高まる唯一の国であることが指摘されてきました。このような現状を改善することは、今日の政治に課せられた重大な責任です。子どもを社会で育てるという理念や、先進諸国に比べ極端に少ない子ども・家族関係支出を増やすべきという認識は共有する立場です。

 日本共産党は、「小学校6年生までの児童手当を、ただちに現行の2倍に引き上げ1万円に」するとともに、「18歳までの支給をめざし改善」していくことを提案してきました。その財源は、世代間の予算の移し替えや負担増ではなく、大企業・大資産家優遇税制の是正や軍事費削減など、聖域にメスを入れるべきだと訴えてきました。

 配偶者控除の廃止等、国民の一部を犠牲にして、他の世帯にまわすようなやり方では国民の支持は得られません。今回の法案は、2010年度に限って中学生まで「子ども手当」半額の支給をするものであり、一部の控除の廃止を財源としていますが、手当を受給しない他の世帯への負担増はもりこまれていないことから、その限りで賛成としたいと思います。

 問題は、11年度以降の子ども手当をどうするのかであります。

 そもそも、2万6000円満額支給については、総理自身が財源不足で困難と発言しています。財源や支給対象の範囲など、制度の骨格に関わる事柄のほとんどが先送りされていることは、制度の信頼性に大きな不安を与えています。

 今回の「子ども手当」の財源は、年少扶養控除の廃止や特定扶養控除の上乗せの廃止によるものであり、結局のところ「増税との抱き合わせ」です。さらに、今回は見送られたものの配偶者控除や成年扶養控除の見直しが本格的に行われるなら、子育て以外の世帯に増税を押し付けることになり、認めるわけにいきません。

 控除の廃止によって、保育料の引き上げなどの「負担の連鎖」が起こります。これについて、政府は「適切な措置」を講ずるとしていますが、様々な住民サービスなど、自治体独自の判断に対しては、国が関与できないはずです。だからこそ、国の責任を明確にしなければなりません。子ども手当の地方負担相当分を、民間保育所の運営費交付金の削減という形で確保するということなどは、現金給付と車の両輪で進めるべき現物給付に、国は責任をもたないと言ったに等しいものであり、絶対に認められません。

 また、現在、子どもと家族を応援する支出のうち、企業支出はわずか0・1%にすぎず、諸外国からみても低く、企業負担はなくすべきではありません。

 「子ども手当」の満額支給に5兆4000億円も使うために、他の子育て予算が削減されたり、さらなる増税の恐れが指摘されています。

 参考人質疑でも、「子ども手当」の理念や目的の論議が十分だったのか、財源や地方負担はどうなるのかなど、さまざまな意見が出されました。同時に、手当の支給だけではなく、保育所待機児童の解消や子どもの医療費・教育費の軽減など、子育てに関わる基盤整備を抜本的に充実することの重要性が指摘され、手当も、現物給付も、ともに必要であるという認識が共通して強調されたことは重要です。

 最後に、大本にある子育て家庭の貧困や、働き方の改善も、政府全体でとりくんでいくということを強く求めて、討論を終わります。



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