2010年3月16日(火)「しんぶん赤旗」
主張
鳩山政権6カ月
「政治とカネ」糾明は不可欠
鳩山由紀夫政権が発足してから16日で半年を迎えます。政権交代後、部分的には国民の要求を反映した前進もみられるものの根本的には財界・大企業本位と日米軍事同盟絶対の枠を突破できない鳩山政権への国民の不満は、この半年間の内閣支持率の急速な低下となって示されています。
なかでも批判が集まっているのは、「政治とカネ」の問題です。鳩山首相の政治資金問題はもちろん、小沢一郎民主党幹事長の問題などを徹底して解明し、政治的道義的責任を明らかにすることは、鳩山政権への国民の信頼のうえで欠かすことができません。
支持率低下のなかで
鳩山首相が自らの政治資金問題について、知らなかったといっているのは「納得できない」が80%、「納得できる」は15%、小沢幹事長の政治資金問題で小沢氏は「国会で説明する必要がある」が75%、「必要がない」は10%―鳩山政権の内閣支持率の急速な低下を示している新聞やテレビなど各メディアの世論調査の中で、NHKは先日こうした数字を伝えました。
「政治とカネ」の問題での国民の鳩山政権への圧倒的な批判は、問題が相次いで表面化しているだけでなく、鳩山首相をはじめ政権の担当者が、真相の究明と政治的道義的責任の明確化に背を向けていることへの、きびしい不満となってあらわれています。
自らの政治資金を亡くなった人など虚偽の名義で届け出ていた鳩山首相自身の問題では、母親からの巨額の資金提供などが明らかになってもなお「知らなかった」といいはり、収支の全容や脱税などの疑惑に答えていません。国民が不満を募らせるのは当たり前です。
小沢氏の場合も3人の元・現秘書が政治資金規正法違反の虚偽記載の罪で起訴されたのに、「嫌疑不十分・不起訴」となっただけでまったく潔白となったようにいいはり、公共事業の発注をめぐる税金の還流など核心的な疑惑に答えていません。膨大な不動産購入は何のためか国民に説明しないことにも、批判が集まっています。
小沢氏の元秘書の石川知裕衆院議員の逮捕・起訴や、小林千代美議員をめぐる違法な労組献金の問題でも、鳩山政権と民主党がまったく議員個人任せで、真相と責任を明らかにしようとしていないことが批判されています。
国会議員が「政治とカネ」の問題で疑惑が持たれた場合、自ら疑惑を解明し、責任を明らかにするとともに、所属する政党としても自浄能力を発揮して、真相と責任を明らかにするのは当然です。鳩山政権と民主党がその責任を果たしていないのは重大で、まさに国民の信頼を裏切っているといわれて仕方がありません。
証人喚問を実現してこそ
この間国会では鳩山首相や小沢氏の疑惑がたびたび取り上げられ、関係者の証人喚問などが求められてきました。答弁に立つ鳩山首相が疑惑に十分答えず、民主党も小沢氏本人を含む関係者の証人喚問に応えていないのは、自浄能力のなさを示しています。
民主党は、「政治とカネ」問題での与野党協議を言い出しています。しかし、証人喚問など徹底した疑惑の解明を実現しなければ、その協議も批判を免れるためといわれ、持ち出される「対策」も、実効が期待されないのは明らかです。
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