2010年3月15日(月)「しんぶん赤旗」

主張

「核密約」否定

これでは非核三原則守れない


 政府は「日米密約」についての外務省の報告で、核兵器を積んだ艦船や航空機の通過や寄港を事前協議の対象とはしない密約について、文書はあったが「核持ち込み」の「明確な合意」でなかったと主張しました。それでいて、これまで核兵器が持ち込まれていた可能性は否定しませんでした。

 「密約」を密約として認めなければこれまでの無法な核持ち込みの説明にはならず、その密約を廃棄しなければ、今後核持ち込みを許さず、非核三原則を政府が守る保証にもなりません。政府はきっぱり核持ち込みの密約を認め、廃棄すべきです。

「配備しない」はごまかし

 米軍が核兵器を積んだ艦船や航空機を、日本政府との事前協議抜きで領海を通過させ寄港させる約束は、1960年の日米安保条約の改定時に日米政府が秘密に取り決めた「討論記録」の中に明記されている密約です。外務省は今回文書の存在は確認しましたが、「明確な合意」でなかったといいました。しかし、日米の公式文書を「合意でなかった」というのは、まったく成り立たない議論です。

 密約を認め廃棄しなければ、今後核が持ち込まれない保証にはならないという追及に、政府が持ち出してきたのが、1991年以降はアメリカが艦船や航空機から核兵器を撤去する政策決定をしているから、「持ち込みということが起こり得ない」(10日の衆院外務委員会での岡田克也外相の日本共産党・笠井亮議員への答弁)という理屈です。これもまったく根拠のない議論です。

 アメリカのブッシュ大統領は91年の核戦力削減措置についての演説で、「通常の状況下ではわれわれの艦船は戦術核兵器を積載しない」とはのべたものの、「将来の危機に際して必要な場合に利用できるよう、中央地域に保管」するといっています。今後一切核兵器を搭載しないと約束したものではありません。94年のクリントン政権の「核態勢の見直し」報告も、「もし必要な場合には、将来の予期せぬ挑戦にも対応する」といっています。「平時」ではない「有事」の状況が生まれたとアメリカ政府が判断すれば、いつでも核兵器の再配備を可能にする態勢が生きていることは明らかです。

 日本への原潜寄港回数は増加の一方です。核巡航ミサイル「トマホーク」を特定の攻撃型原潜に搭載する構えもいまのところ変わっていません。三沢基地(青森県)には核兵器搭載可能なF16戦闘機がいます。嘉手納基地(沖縄県)などには核兵器搭載能力のあるF15Eイーグル戦闘機が米本国から飛来してきています。米政府が軍事的に必要だと判断すればいつでも、核兵器搭載艦船や航空機の通過や寄港の危険があることは否定できない事実です。

「密約」認め廃棄せよ

 核持ち込みの密約と認めず廃棄もしないで、国民が知らない間に米軍の核兵器が日本の領海や領空に持ち込まれる仕組みをそのままにしておくなど、絶対に認めるわけにはいきません。

 非核三原則は、唯一の被爆国日本の国民が核兵器廃絶の思いをこめてつくりあげた大事な平和原則です。核持ち込みの密約を認め廃棄することこそ、非核三原則を厳格に実施し、「非核の日本」に進むたしかな道です。



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