2010年3月14日(日)「しんぶん赤旗」
09年製造業賃金
1カ月分 40万 消えた
取り戻す春闘に
落ち込み過去最大
労働者の賃金の急激な落ち込みが指摘されていますが、2009年1年間で製造業(事業所規模30人以上)の労働者の賃金が、前年より約40万円減ったことがわかりました。厚生労働省によると、調査開始の1952年以来、「過去最大の下げ幅」です。ヤマ場を迎えている春闘は“奪われた賃金をとりもどす”たたかいとして重要になっています。
厚労省の「毎月勤労統計調査09年結果」によると、製造業で働く労働者(一般・パートタイム労働者の合計)の月間現金給与総額は37万8257円で、前年より8%、約3万3千円低下しました。この金額は、1カ月あたりの基本給・一時金・残業代・家族手当・交通費などの税引き前合計額。1カ月の低下額を年換算すると、約40万円も下がったことになります。1カ月分の給料がそっくり消えてしまったことになり、家計への影響は深刻です。
事業所規模が500人以上の製造業では、前年より10・4%、1カ月約5万9千円、年間約70万円、という異常な減り方です。
全産業労働者(事業所規模30人以上)でみると、09年が35万5223円で、前年より4・8%低下しました。1カ月約2万4千円、年間約29万円の減額です。
17日は、自動車や電機など主要大企業が労働組合にいっせいに春闘回答を出す予定日です。日本経団連は、「ベースアップは困難と判断する企業が多数」と、賃上げ拒否の態度をとり、定期昇給の凍結をいいだす企業もあります。
大企業のため込み利益である「内部留保」は、98年以降急激に膨張し、この10年間で142兆円から229兆円に増加しています。日本経済をこれ以上深刻化させないためにも、内部留保を労働者の賃上げなど、社会に還元させることが求められています。
毎月勤労統計調査 厚生労働省が所管する、民間・官公営事業所での給与、労働時間、雇用の毎月の動きを明らかにする労働統計。1カ月を超える期間をきめて雇われている常用労働者5人以上の事業所約3万3000カ所を対象にした調査で、速報性が重視されています。
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