2010年3月13日(土)「しんぶん赤旗」
ガザ封鎖1000日
医療滞り500人死亡
労働人口の8割失業
イスラエル軍不発弾 深刻
【カイロ=松本眞志】国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)のフィリッポ・グランディ事務局長は10日、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区の経済封鎖が今月7日に1000日目を迎え、イスラエルによる空爆で破壊された町の復興も進まず、住民は日々の生活物資にもこと欠く状態であると語りました。
ニューヨークの国連本部で会見したグランディ氏は、ガザ地区復興の遅れに言及。封鎖のために、昨年3月のエジプト・シャルムエルシェイク会議で確認されたガザ復興支援金50億ドル(約4650億円)のほとんどが滞っており、地区内の建築現場では有り合わせの低品質の資材が使用されていると述べました。
復興に必要な資材が、食料や医薬品を除いて搬入できないため、住民の多くがエジプト国境との間に掘られた「違法」な地下トンネルを通じた「貿易」に依拠せざるをえないとしています。
そして、域内経済が小規模なために「地下道貿易」による日々の物資の量が物価を左右し住民生活を不安定にしていると説明。封鎖の継続は地区内住民の「暴発」を導くと警告しました。
ガザ地区に住むジャマル・フダリ弁護士は、現地メディアに、「封鎖の継続によって適切な医療措置が施されずに住民500人が死亡し、地区内経済の破たんで実質労働人口の8割を占める14万人が失業状態にある」と述べています。
ガザ地区では、2008年末から09年初めに実施されたイスラエル軍による空爆で使用された爆弾の不発弾の影響も深刻です。
国連地雷対策サービス(UNMAS)の特殊爆弾処理班は10日、国際団体やイスラエル・パレスチナの爆弾処理専門家とともに、イスラエル軍の不発弾の解体作業を開始しました。作業は数カ月に及ぶとされ、この日は白リン弾2発を処理しました。
ガザ封鎖 イスラエルは「治安上の理由」を口実に以前からガザ地区を断続的に封鎖してきましたが、2007年6月にパレスチナのイスラム武装抵抗組織ハマスが同地区を武力支配して以来、ほぼ全面封鎖に踏み切っています。国連が仲介した食料、医薬品の搬入が1日数時間認められているだけです。
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