2010年3月12日(金)「しんぶん赤旗」

鳩山マネー

民主21議員へ5500万円

落選中の14人 養われた?

07〜08年


 「兄が子分を養うためにお金が大変いる」と母親から電話で聞いた―。鳩山由紀夫首相の政治資金疑惑をめぐり、弟の自民党・鳩山邦夫元総務相の発言が波紋をよんでいます。母親から提供された12億円を超す資金の一部を民主党議員に配っていたのでは、という国会での追及に首相は「まったく知らない」と否定しました。しかし、首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」(友政懇)の政治資金収支報告書をみると、同党議員らに100万円単位でばらまいている実態が明らかになりました。


 直近3年分の収支報告書によると、選挙のなかった2006年には、民主党議員への「寄付」はありません。参院選のあった07年と、福田康夫首相が政権を放り出し、麻生太郎新首相のもとで解散・総選挙がとりざたされていた08年に、計21人の民主党議員の政治団体や政党支部に計5500万円の寄付をしていました。(表参照)

平野氏へ1000万円

 受け取っていたのは、官房長官に抜てきされた平野博文氏(大阪11区)の1000万円、首相の元秘書で初当選した初鹿明博衆院議員(東京16区)の600万円など、側近が目立ちます。

 また、海江田万里選挙対策委員長代理(東京1区)、中野寛成元衆院副議長(大阪8区)ら当時、落選中だった政治家が14人もいます。

 文字通り、「子分を養う」ためだったといえます。

 たとえば、民主党税調会長も務め、落選中だった五十嵐文彦衆院議員(埼玉9区)の資金管理団体「風山会」は、08年の収入が102万円で、内訳は友政懇の寄付100万円にたいし、民主党本部からの寄付はわずか2万円でした。

全容解明が必要

 受け取った議員側の収支報告書に記載のないケースが二つありました。

 08年10月に、ともに落選中だった城島光力衆院議員(神奈川10区)と大谷信盛環境大臣総務官(大阪9区)の資金管理団体「城島光力21世紀フォーラム」、「青雲政経懇話会」です。友政懇から、城島氏側には100万円、大谷氏側には200万円の「寄付」がそれぞれあったと、1年4カ月以上もたった今年2月22日、「訂正」の報告を、所管の選管におこなっていました。

 これは、首相側のカネを受け取った議員側に「裏金」という認識があったことをうかがわせるものです。鳩山氏の12億円を超す資金が何に使われたのか、全容の解明が必要です。


鳩山首相側から資金提供を受けた議員(敬称略、単位万円)

 増子輝彦(参院福島)700
●大谷信盛(大阪9区)400
●荒井聰(北海道3区)100
 吉良州司(大分1区)800
▽稲富修二(福岡2区)200
 平野博文(大阪11区) 1000
▽初鹿明博(東京16区) 600
●小泉俊明(茨城3区) 100
●海江田万里(東京1区) 100
●五十嵐文彦(埼玉9区) 100
●城島光力(神奈川10区) 100
●中山義活(東京2区) 200
●牧野聖修(静岡1区) 100
●田中慶秋(神奈川5区) 100
●松崎哲久(埼玉10区) 50
●中野寛成(大阪8区) 100
●奥田建(石川1区) 50
●松崎公昭(千葉8区) 50
●岡島一正(千葉3区) 50
 犬塚直史(参院長崎) 300
 石井一(参院比例) 300

《注》「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書(07、08年)で作成。大谷氏のみ07、08年とも各200万円。衆院議員の●は当時落選中、▽は新人



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