2010年3月12日(金)「しんぶん赤旗」
築地市場移転予定地の豊洲
汚染処理実験ずさん
吉田議員が追及 都議会予算委
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東京都中央卸売市場が築地市場の移転予定地(東京ガス工場跡地、江東区豊洲)で実施中の土壌汚染処理実験で、実験前の汚染物質濃度も示さず、専門家の検証も得ないまま“安全宣言”を行ったずさんなものであることが11日、明らかになりました。都議会予算特別委員会で日本共産党の吉田信夫都議が追及しました。
都は10日に公表した実験の中間報告で「確実に汚染物質を無害化できることが実証された」と宣言しましたが、採取土壌の処理実験前のベンゼン、シアン化合物、ヒ素など汚染濃度(初期値)を示さず、2008年の詳細調査データと実験結果を対比させました。
吉田氏は実験のやり方に大問題があると指摘し、「採取した時の土壌の汚染がどれだけの値(初期値)だったのか」と追及。岡田至中央卸売市場長が「昨日、初期値を示しても(08年データとの)違いを説明できなかった。今後データを出す」と答弁。吉田氏は「初期値も出さないのでは誰も信用しない。こんなもので『無害化できると実証された』と発表したのは、都民をあざむくものだ」と批判しました。
吉田氏はさらに、微生物によるベンゼン処理実験について、微生物を特定しDNA鑑定、処理過程、汚染物質の減少効果の確認などの精査が必要で作業に9カ月以上かかると強調。こうした手法を取るのかとただしましたが、市場長は答弁できませんでした。
吉田氏はまた、予定地には推計で約1万8000本のくいが埋設され、都が「水を通さない」とする有楽町層を貫いていることを追及すると、岡田氏は「汚染が(同層から)下に広がる可能性はきわめて考えにくい」と強弁。吉田氏は予算案で計上した豊洲の土地購入費を削除すべきだとして、修正案を提出すると述べました。