2010年3月11日(木)「しんぶん赤旗」

なくせ追い出し屋

東京でシンポ 公共住宅の充実必要


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(写真)追い出し屋被害を根絶しようと開かれた「住まいと人権」シンポ=10日、東京都千代田区

 賃貸住宅の家賃滞納を理由に無断で鍵を交換するなどの違法な「追い出し屋」被害から賃借人を守り、社会的弱者の居住権を確保するために何が求められるかを考えようと、東京弁護士会は10日、「住まいと人権」シンポジウムを東京都千代田区の弁護士会館で開きました。弁護士や被害者ら90人が参加しました。

 基調報告した神戸大学大学院の平山洋介教授は、「自民党、民主党両政権の住宅政策に共通する『働けば家は何とかなる』という新自由主義的なシナリオはうまくいかない」と指摘。その理由として、雇用情勢が依然悪く、賃金が低過ぎて住宅を借りられる状況にないことをあげました。

 平山教授は、ヨーロッパ諸国のように、公営住宅の充実と家賃補助制度の創設によって、民間を含めた賃貸住宅全体を良質で低家賃の方向へ誘導していく市場介入的な政策が求められるとのべました。

 パネルディスカッションで、「追い出し屋」被害者の弁護に取り組む酒井恵介弁護士は、国土交通省が提出する規制法案は家賃債務保証業者の登録を義務付けるものの、同じく「追い出し」行為をしている不動産管理業者などを対象外にし、勤務先への家賃取り立てを規制しないなど不十分だと指摘しました。

 平山教授は、「『追い出し屋』被害の根底には、住宅対策費がGDP(国内総生産)比でわずか0・15%で、公営賃貸住宅が4%しかないなど、先進国では考えられない日本の住宅政策の異常さがある」とのべました。

 NPO法人自立生活サポートセンター・もやい代表理事の稲葉剛氏は、業界による家賃滞納者データーベースの作成・共有について「住まいを追い出された社会的弱者が、今度は市場の入り口で締め出される」と批判。データベース化を禁止し、公的な家賃保証制度が必要だとのべました。


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